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●ビジネスモデル事例【健康B-Cビジネスモデル紹介(その1)】

    ~ 健康食品販売サイトの動向レポート ~
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米国の健康食品市場は、約168億ドル(2兆2,500億円・2000年)と言われ、
2003年までに6.2%以上の拡大が予想されています(Nutrition
BusinessJournal誌)。しかしながら、健康食品販売サイトを運営する
企業はサイト乱立により各社「どのような特徴づけを行い売上を拡大
すべきか」という命題を抱えています。

一方最近では、業界最大手の健康食品サイトDrugstore.comが、第4四半期
決算で過去最高の売上を記録し、収益も改善されつつあると伝えられる
など、業績の好調なサイトも明確に現れ、2局化が進んでいると言えます。

今回は、多くのドットコム企業が淘汰されている中で、業績が好調な健康
食品販売サイトに注目して、その特徴を分析します。


【参考】
・全米栄養食品協会(NNFA)「Industry Fact」
2001年から2003年の健康食品産業の見通しを解説
http://www.nnfa.org/news/industry/index.htm


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■その1:Drugstore.com(サイト設立:1999年)
http://www.drugstore.com/

いちはやくオンライン処方を開始した業界最大手のドラッグストア。
購買履歴管理により補充を知らせるリマインダーサービスを提供している。
大手小売薬局店舗チェーンのGNCや、美容サイトBeauty.com、Yahooとの
提携で販売を拡大。2001年度の売上は、前年比32.1%の1億45百万ドル。

<特徴> 薬剤師へのオンライン相談サービス

ユーザーの質問に対しては、1日以内にメールで回答されるしくみ。過去の
質問については、アレルギー・糖尿病などのテーマ別に内容を検索可能。
ビタミンだけでも81項目のQ&Aを掲載。医薬品の相互作用が確認できる
チェックツールも提供。
 
※Ask Our Pharmacist:オンライン相談コーナー
http://www.drugstore.com/pharmacy/ayp/default.asp?trx=1G5003&atrx=dps-16&
atrxp1=18454&atrxp2=2&atrxp3=%2Fpharmacy%2Fayp%2Fdefault%2Easp%3Ftrx%3D1G5003&atrxp4=10663

(リンクが切れる場合は、コピーペーストをお願いします)


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■その2:CVS.com(サイト開設:1999年)
http://www.cvs.com/CVSApp/cvs/gateway/cvsmain

全米に約4,200店舗を持つ大手小売薬局チェーンCVS Pharmacyが運営する
サイト。処方医薬品から健康食品・日用品まで幅広いアイテムを取り揃える。
店舗とサイトを合わせたCVS社全体の2001年度の売上は222億ドルで、前年比
10.7%増。

<特徴> 充実した商品検索機能

取扱い商品12,000点をスムーズに検索できるツールが充実している。トップ
ページには「カテゴリー別」8種(美容・健康・ギフトなど)「テーマ別」
12種(ダイエット・男性など)「症状別」8種(アレルギー・頭痛・不眠など)
の検索メニューが用意されている。

例えば、上記テーマの「ダイエット」のページでは、さらに「形態別」
(粉末・ゼリー・錠剤など12種)と「ブランド別」での絞込みが可能。

※Health&Wellness(例:ダイエットの商品検索ページ)
http://www.cvs.com/CVSApp/cvs/gateway/aisle?deptid=1&catid=17


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■その3:vitacost.com(サイト設立:1996年)
http://www.vitacost.com/

サイトのコンセプトは、「卸売り価格での提供」。健康食品を店頭価格の
33%~75%割引きで販売している。充実した顧客サービスも好評で、評価
サイトのGomez.comなどからも高い評価を得ている。
Vitacost.com社は、設立から5年間で約8倍の売上を確保した急成長企業
(2000年度売上:3,600万ドル)。2001年2月には、Healthshop.comなど4つ
の健康食品サイトを買収して、顧客数は7倍に拡大する見込みとしている。


<特徴> 商品の評価データの提供

2つの研究機関(Shuster Laboratories・San Rafael Chemical
Services)と提携して、商品の科学的データと評価情報を提供している。
毎月、サイト内の「Lab Test」で、ダイエット製品・抗うつ剤などテーマ毎
のレビューを公表している。

※Lab Test(例:ダイエット製品)
http://www.vitacost.com/products/reviews/weightloss/index.html


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【日本での可能性】
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■今回紹介したサイトの特徴は、1)専門家へのオンライン相談 
2)既存店舗を生かしたサービス 3)商品の評価データの提供の3点です。

1)専門家へのオンライン相談

すでに日本サイトでも、薬剤師・管理栄養士などの専門家がメールで相談を
受けるサービスがあります。今後の課題の一つとしては、オンライン相談に
対応する専門的人材の確保があります。

このところ日本でも、健康食品に関わる人材の育成が活発化しています。
日本臨床栄養協会の「サプリメント・アドバイザー」、日本健康・栄養食品
協会の「食品保健指導者」などがあります。今後は、このような専門家の
積極的な活用が望まれます。

また、Drugstore.comでは、ユーザーの質問に「1日以内に回答」している
点にも注目できます。オンライン相談の効率性を高めるためには、過去の
大量の相談内容をデータベース化するといった工夫が必要となります。


2)充実した商品検索機能

CVS.comでは、約12,000点という膨大な商品を検索できるツールを提供して
います。取扱い商品数の数量に関わらず、ユーザーが「自分に合った商品
を選べる」しくみは、不可欠です。

日本でも多くの健康食品サイトは、商品検索ツールを提供していますが、
まだ改善の余地があるといえます。例えば、ユーザーの「年齢や性別・
運動習慣・食習慣・体質」をベースにした細かい商品提案が考えられます。
今後は、個別にカスタマイズされた、より高度な「商品検索機能」の提供
が求められるはずです。


3)商品の評価データの提供

vitacost.comでは、研究機関と提携してデータ収集し、社内の医療専門家が、
比較レビューを執筆しています。

客観的な評価情報には、専門家による評価のほかに「ユーザーによる体験談
(評価)」も考えられます。例えば、以下のサイトでは、健康関連グッズや
サービスに対するユーザーの体験談を豊富に提供しています。今後は、この
ような第三者(機関)の評価情報を掲載して、商品の信頼性を高める工夫が
重要となります。

※e-ここち(ユーザー評価情報の充実したサイト)
http://www.e-cocochi.net/

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