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●海外ヘルスビジネス事例NO.97

~ シェフが「食育」を実践! 「American Culinary Federation」 ~
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 米国では、子供の肥満や生活習慣病予防を目的に、国をあげての健康教育
がさかんです。中でも、「食」を通じた健康教育を「nutrition education
(食育)」と呼びます。

 本メルマガの事例VOL.84では、小学生がスーパーマーケットで食品の選び
方や栄養知識を学ぶことのできるDole社の「5 A Day Program」を紹介しま
した。今回は、プロのシェフが「料理」を通じて子供の食への関心を高めて
いる事例を紹介します。


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【事例紹介:American Culinary Federation】
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・運営:全米シェフ協会(1929年設立)
・URL: http://www.acfchefs.org/

American Culinary Federationは、全米18,000名以上のシェフ(レストラ
ンの料理長)を会員とし、研修、教育、出版などを行う団体です。食育への
取組みとして、「小学校へのシェフ派遣」と「子供向け料理教室の開催」の
2つがあります。


1)小学校へのシェフ派遣「National School Breakfast Week」

「National School Breakfast Week」は、USDA(米農務省)と学校給食協会
(ASFSA)との連携で毎年開催される、「朝食」にフォーカスした食育イベ
ントです。協会のシェフが、地元の小学校給食の朝食時間に訪れ、調理実習
や健康についての講義などを行うものです。

具体的には、シェフ自らが朝食を摂ることの重要性を伝え、メニューの栄
養について説明した後オリジナル朝食を提供、子供からの質問に答えます。
また、シェフが子供に食生活に関するアンケートを行い、学校やUSDA(米農
務省)にフィードバック、今後の食育イベント計画にも活かされるしくみと
なっています。

・National School Breakfast Weekの様子
http://www.fns.usda.gov/tn/Intheschools/Florida.html

・National School Breakfast Weekのプレスリリース
http://www.acfchefs.org/ccf/ccfnut00.html


2)子供向け料理教室「Cooking Is For Kids」

「Cooking Is For Kids」は、小・中学生を対象にして、夏休みに1週間開催
される料理教室です。地域のコミュニティカレッジ(公立の教育施設)にお
いて、基礎と中級クラスの2クラスが開講されています。

子供は、料理を実際に行いながらシェフから栄養や食文化などを学ぶことが
できます。またシェフに対しては、協会側が専門研修(継続教育)に参加し
たのと同様の資格の点数(クレジット)を与え参加を促進しています。

・Cooking Is For Kidsの概要
http://www.acfchefs.org/ccf/ccfkcook.html


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【「食の専門家の活用」と「子供の食シーン」への対応】
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■上記の事例は、子供がシェフという「専門家」を通じて食に関心をもち、
自分や家族の健康的な食生活を考えるきっかけを与えるという食育の取り組
みです。

■日本では、有名シェフが加工食品や宅配食などのメニュー開発者として参
加したり、家庭向けレシピ提供サイトに参加するなどの事例がありますが、
「食育」に参加するという切り口はあまり見られないのが現状です。

・メフォス、ホテルオークラのシェフと開発した宅配健康食
http://www.mefos.co.jp/new/new_02_05.htm
・g-cheff、有名シェフが家庭向けにレシピを提供
http://www.g-chef.com/

■食の専門家は、有名シェフや若手調理師、フードコーディネーター(プラ
ンナー)、食生活アドバイザー、ベジタブル&フルーツマイスターなど豊富
です。これらの専門家それぞれの強みを活用した、総合的食育プログラムの
作成には可能性があります。

■また、今回の事例の小学校へのシェフ派遣は「朝食」にフォーカスした食
育プログラムでした。「子供の食シーン」を考え、お菓子や清涼飲料水と健
康といった切り口で、「間食」の食育プログラムにも可能性があると言えな
いでしょうか。


【参考情報】

※USDA(米国農務省)の食育キャンペーンの詳細
学校と連携して数多くの食育イベントを開催している
http://www.fns.usda.gov/cnd/menu/whatsnew/WhatsNew.htm

※食生活学習教材(文部科学省・2002年3月)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/05/020515.htm


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