★高木鈴子.jpg

2014.11.19
株式会社クックパッド ダイエットラボ 
代表取締役 高木 鈴子 氏

以前から注目していた会社が、ネットで大成功しているあの企業グループと手を組んだ。
 
是非お話を、とアプローチしたのが今回の高木社長だ。
プロフィール
高木 鈴子[たかき れいこ]
全日空ワールド株式会社(現 ANAセールス株式会社)を経て、1989年に英国の航空会社、ヴァージン アトランティック航空日本支社入社、11年間勤務。マーケティング部長として、日本マーケットでのマーケティング業務全般に携わる。その後、インターネット上でポイント・マーケティング・サービスを提供するジー・プラン株式会社にて、マーケティング部長として勤務。2003年より、ダイエットフォーミュラ食品「マイクロダイエット」を販売するサニーヘルス株式会社にて、広報部門、インターネット開発部門の責任者として勤務。2006年に株式会社アグライアを創業。

そして、クックパッドダイエットラボへ

クックパッド ダイエットラボ社はいきなり創立されたのではない。
その背景をまずは伺った。
 
「前会社アグライアが2006年に管理栄養士と栄養指導が必要な人をマッチングして、予防の現場での女性の健康増進をカウンセリングしながら実際に自分でやっていただくために参考にしてほしいという事業をずっとやっていました。
 
B2C事業は時間も信用も必要でなかなか立ち上がらなかったので一旦保健指導事業領域へシフトしました。当社は、栄養指導における業務管理システムの構築が得意なので、インターネットのツールを活用しながら、管理栄養士さんと保健指導サービスを展開していました。
 
クックパッドもレシピの枠を超えて生活インフラでいろいろ接点を持つ会社になりたいということで様々な事業を立ち上げています。その中で健康・ダイエットは一番相性がいい事業と考えていて、最初は同社のサービスとしてダイエット事業を展開するという検討をしているときに、その企画コンサルティングなどでお手伝いをしていました。ダイエット市場はこうだ、こんなアプリはどうか、などとダイエットサービスについての企画面でのサポートをしていました。
 
そういった経緯を経て、私たちがB2Cに取り組むということになり、出資をいただき、クックパッドグループとして事業を展開していく、ということになりました。
 
クックパッドグループになっても、エンドユーザの方にご提供していることの根本は変わらないです。
 
当社のサービスは、クックパッドがいきなりダイエット事業を始めたのではなく、私たちの7年のダイエット・健康サービス経験の積み上げがいい形で活かされています。
 
事業的に大きく変わったところは、B2Cへしっかり取り組めるようになったことです。自社ではなかなか厳しかったB2C事業も、クックパッドが親会社であることで同社のユーザーさんたちのリソースを使わせてもらえ、集客を一緒にやらせてもらえるのが事業の展開に大きく影響しています。
 
クックパッドもレシピの枠を超えるのであればユーザーさんたちにレシピだけのサービスを提供するサイトではないですよ、という教育をしていかないと新たなサービスに流れないという理解もあり、ダイエット関連コンテンツを積極的に週3本くらい出して、食と健康、食とダイエット、食と美容を意識して食事しようというマインドになってもらうような施策も展開しています」
 

ラボとしてこだわりたいこと、そしてオーガナイズ

「今後も個別感とエビデンスの取れた情報にこだわっていきたいです。個別感は特に重要です。ならして言うと夜遅く食べないでくださいというみんなに共通する行動はあるのですが、ダイエットを始める人は生活環境がみんな異なるのでどこで反応するか分からない。ダイエット行動、健康行動はまずやってもらうという初めの1歩が重要なので、そこはやっぱり個別対応となります」
 
筆者も最近、生活者全体的な傾向として健康に対する意識がアップしている気がすると話すと高木さんも同様の感覚を持っているとのことだった。そしてベンチマークしたビジネスモデルはないかと聞くと、
 
「一対一の対面サービスで参考にしたものはないですが、グループワークではウェイトウォッチャーズは、ニューヨークでマーケティングの仕事をしている知人に実際に参加してもらって細かくレポートしてもらいました。
 
私たちなりのアレンジを加えて、特定保健指導事業でのポピュレーションアプローチの施策として、実際にグループワークを運営してみると、とっても満足感が高い。グループワークは、“人の気持ちを動かす”ことには大変有効なんだと思いました。
 
グループワークから学んだことはしっかりとした進行計画をつくることです。
それがないとがちゃがちゃしてしまう。
 
実は個人のカウンセリングでも同じです。
個別カウンセリングの中身そのものは管理栄養士さんが考えて対応しますが、プロセスでの落とし込みの考え方は共有しています。印象的なプレゼンテーションをしましょうと言っても栄養士さんには難しいですし、そこでキーワード、台詞を決めるのは重要だと思います。
 
サービスをつくる時にオーガナイズという言葉をよく使います。
その意味は全てがきちんと適切に組み合わされていて気持ちがいいこと。オーガナイズされたサービスは気持ちがいいと思います。そういうサービスを目指したいです」
 
今後規模が拡大していくプロセスでどこまでマインドからノウハウまで全てのスタッフで高品質でキープできるか課題もあるという。
 
「健康サービスはリアルにはかなわないと思います。クックパッドが我々のようなサービスに着目したのはスゴイと思います。同社はIT企業なので利益率も効率も高い。リアル店舗は時間もかかるので、彼らの事業に比べれば、大変非効率なことを選択したことになります。
 
でも、クックパッドも、実は投稿されたレシピは全部見ていますし、レシピの記載に間違いがあればユーザーさんにチェックバックもしています。ユーザ投稿型ですが、チェックを通ったレシピしかサイトには公開しません。また、自分たちで作っておいしいと思ったメニューしか本として出版もしません。
 
最後は人力がサービスのクオリティを上げるということを分かっているカルチャーがあるのだと思います」
 
クックパッドダイエットラボの今後の活躍に期待したいですね!!



取材後記:
カウンセリングの現場で磨かれた本物のノウハウがここにあると思いました。
応援していきたいサービスですね!
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年10月15日]