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2012.08.07
株式会社RDサポート
代表取締役 大澤 裕樹 氏

“食と健康分野の専門人材サービス”として、研究開発部門を主とした人材派遣、食・健康・メディカル分野の人材紹介、特定保健指導の受託、さらに教育事業などを手掛ける株式会社RDサポート。すでに会社設立から13年が経ち、業界でも中堅どころとも言える同社が、教育事業において今までとは違うeラーニングを準備したとのこと。健康業界の新たな時流となるものなのか、今回は代表の大澤裕樹氏だけでなく、小関望部長、石井光城部長、大渕由布子課長にもお出でいただき、和気あいあいとした中でお話しを伺った。
プロフィール
大澤 裕樹[おおさわ ひろき]
平成10年12月11日、千葉大学大学院1年のときに株式会社RDサポートを創業。
きっかけは自分の今後のキャリアについて悩んでいたとき、共同研究をしている食品メーカーの方から、慢性的な研究員不足の話を聞き、自分が研究者の道を歩まず、研究者のキャリアを支援する会社を起業しようと決意する。食品企業の研究開発部門を対象に、研究者派遣の事業を始める。

栄養士・管理栄養士の新たなキャリア創造

RDサポートといえば、食・健康業界の人材派遣として知られている。まずはどのような特長があるのか伺った。
 
「もともと食・健康分野で人材派遣をはじめた97〜99年は就職氷河期で研究所の人員が慢性的に足りていませんでした。かたや私の周りも企業に就職して研究に従事し、結婚出産で一度離職すると、落ち着いたときに再就職したいと思っても、なかなか再就職先がない状況でした。研究開発という分野で派遣というやり方なら橋渡しができるのではないかとの思いで事業を立ち上げました。研究員ではなく、研究補助員というアプローチであれば派遣も受け入れ易いと考えたのです」
 
研究現場の役割のヒエラルキーに補助員(派遣)ははまりやすかったのだろうか?
 
「通常、研究員(正社員)の方は大学院を出て総合職として研究所に入って、それぞれの研究に取り組むのですが、やらなければならないことも多く1人ではこなせないのが現状です。ご紹介すると補助員というのはとてもニーズがありました。実際に使っていただき評価されれば、派遣から直接雇用に切り替えようという話しもあり、派遣で就業した本人にもキャリアパスが見えてくるのです」
 

年代に合わせたライフステージ・キャリアメイク

現在3,500人の栄養士、管理栄養士の登録があるRDサポート。人材の確保、また人材の品質向上など課題も多かったのではないか。
 
「管理栄養士は5月に国家試験の発表があるため、タイミング的に就職先は病院や委託などになります。でも、食品メーカーで働きたいと思っている人も多いのです。会社設立当初は大学を回って学生にアプローチするだけでなく、卒業生一人ひとりに電話やDMで興味を持ってくれる方を探し、個別にしっかりと説明していきました。
 
現在は業界専門の派遣企業として認知していただけたこともありますが、弊社が運営するウェブサイト“ミールプラザ”で栄養士達の活躍を見て応募していただけるようにもなりました。
 
登録人数は約3,500人いますが、100%稼動しているわけではありません。中にはお子さんがいてフルタイムでは働けない方もいます。そういった方々を活かせたのが特定保健指導やメディアでのコメンテーター、執筆、メニュー開発などの単発系業務です。
 
ただ執筆一つとっても、管理栄養士の肩書きがあれば誰でもできるわけではないです。それぞれの強みを活かすよう教育していく必要があります。まずは得意分野を明確にします。たとえば「雑穀に興味があるなら、雑穀を使ったアドバイスは一番を目指してもらう」など。ミールプラザで自分の個性を活かしたコラムを書くことにより、それを見た企業様から執筆依頼やメディアへの出演依頼等の問合せをいただくようになりました。
 
今後は登録している栄養士、管理栄養士の20代、30代、40代のライフステージごとのキャリアメイクを示せるものを目指したいと思います」
 

アフターフォローを踏まえたeラーニング

RDサポートは食関連企業などに向けた教育プログラムを提供していることでも知られている。この度eラーニングをスタートさせたとのこと、他社のeラーニングとはどう違うのだろうか?
 
「企業の社員教育として研究者だけでなく、例えば文系の営業の方に一般的な栄養ノウハウや食の知識をつけていただく研修を行ってきました。また弊社の登録者へキャリアアップの研修としても使ってきました。平成16年からはNR(栄養情報担当者)認定校として通信教育(郵送)による養成講座を提供してきました。残念ながら事業仕分けにより民間は運営できなくなってしまいました。
 
しかし今年度から“健康食品管理士”という資格の認定校となりましたので、こちらに力を入れていきたいと思います。日本食品安全協会が認定している資格事業で、実はNRより人数が多く(NRは約5,000人)、約7,000人の有資格者がいます。
 
もともと臨床検査技師の資格を取った方が健康食品管理士の資格を取って、健食業界でも臨床検査が見られるアドバイザーを育成したいとの考えがあります。我々としてはもっと管理栄養士が必要だとの思いがあり、民間としては初めての認定校となりました。今までの研修と共にこちらもeラーニングで提供します」
 
「eラーニングの他社との違いはなかなか難しいところがあります。こういったものが我々以上にうまくできる企業は多いと思います。
 
我々が着目しているのがアフターフォローです。勉強させて終わりだと、勉強したものが本当に活かせるかが問題で、知識として入れてもらったものをすぐ翌日に仕事で活かしてもらえる内容とし、もしわからなければすぐメールで質問をもらって、すぐ答えることができるような体制を整えています。企業担当者も忙しいので、すぐ返信できないということであれば、一次返信をこちら側で請け負って、社内で答えられるものはすぐに回答し、専門的なことであれば担当者に振って答えてもらうようにして、コミュニケーションが円滑になるよう心がけています。
 
ですから我々のeラーニングは“知識の定着化のプロセスもサポート”するものといえます」
 
今は企業だけでなく、eラーニングのインフラがない学校にも紹介をはじめたという大澤氏。学校ごとの特性に合わせカスタマイズするなど、ユーザーが学んで終わりにさせないために、徹底的に追求していく姿に今後のRDサポートへ期待を抱かせるものとなった。
 
[取材日:2012年7月24日]