星野様写真.jpg

2014.12.24
ネオス株式会社 
ヘルスケアサービス部長 星野 克茂 氏

ヘルスケアIT領域で抜群の活躍をしている企業のひとつにネオス社がある。
 
自主事業を展開しながら受託事業を行っているユニークさが、彼らの魅力になっているように筆者には見えている。その裏側はどうなっているのか星野部長に伺った。
プロフィール
星野 克茂[ほしの かつしげ]
1974年生まれ。慶應義塾大学卒業後、日本ユニシス社入社。約9年間ソリューション営業、事業アライアンスを担当。退職後、ベンチャー企業を経て、生活習慣病の方向けの栄養調整食の宅配事業を起業。2009年プライムワークス社(現:ネオス株式会社)にKarada Manager事業の責任者として入社。以降多数の新規ヘルスケア事業の協業やソリューション受託案件をマネジメント。現在、2016年4月のサハラマラソン(モロッコ)完走に向けてトレーニング中。
http://www.neoscorp.jp/staffvoice/staffvoicedetail7.html

Karada Managerが生まれるまで

国内初のケータイサービスとしての総合健康サービス「Karada Manager」が生まれた経緯をまずは伺ってみた。
 
「ネオスの前身であるプライムワークス時代、主にお客様の裏方として健康サービスの企画・開発・運用を手がけていました。最初のきっかけは治験の被験者募集のウェブサイト制作から入っていって、製薬会社、健康食品、美容整形などのサイト制作を手がけていました。
 
また、メンタルケアのサイト運営をしていたときに、会員向けにサービスで8,000円から12,000円の課金をしようというトライをしたことがありました。手応えを感じつつも継続へは至らなかったのですが、ここでの体験で直接お客様からお金をいただける健康管理サービスをやりたいという思いが強くなりました。
 
そのような時に、KDDI様より『20代の女性にケータイをアクティブに使ってもらいたい』という動きの中でau SmartSports構想があり、第1弾としてRun&Walkという、走ると歩くをテーマとしたアプリがリリースされ、次は食事や健康管理も必要だよねということで、Karada Managerの提案を行い、共同事業がスタートしたのが経緯です。
 
月額315円での販売がスタートしましたが、なかなか育っていかないというタイミングで私が入社し、担当することになりました」
 
実は星野さんは、ネオス入社前にベンチャーで生活習慣病対策の弁当宅配事業を起業していた経緯がある。そこで得た栄養の知識や商品開発、顧客サービスは、後々の彼の思考行動のベースになっているという。さらにベンチャー前の最初の就職先は日本ユニシスであったことで、リアル&バーチャル両面で健康サービスを考えられる当時にしては珍しいポジショニングでプロジェクトを次々と進めてきたのだった。
 

様々なトライ&エラーで誰よりも早くから培ってきたノウハウ

「Karada Managerの拡大のために、単純なレコーディングサービスだけではなく、物売り会社ではないにも関わらず、EC事業への取組みを社内説得して開始し、5周年を迎えています。商品(モノ)をサービスの中で紹介して、ダイエット行動を具体的に助けるような工夫もしてきています。
 
EC事業そのものはアマゾン、楽天に代表される大規模シフトか、ここでしか買えない専門店の2極化に対して、我々はサービスの中で商品を紹介していく売り方にプラスして、もっと商品力が必要だと思い、スタート当初はケンコーコムのドロップシッピングを活用していましたが、現在では、売上の約9割が直接仕入れた商品となっています」
 
あくまでも彼らの本業はサービスの企画開発や受託なのだが、ここでの経験は大きな価値を持つと筆者は感じている。(現在同社ではFitbitの販売も手がけている)
 
「Karada Managerはレコーディングダイエットサービスだったが、そこには入障壁もないし、面白みもない。でも、ここにくれば健康のことなら何でも解決できるサービスでもありポータルでもあるというところ、さらに個人にパーソナライズされていく世界を目指していました。
 
そして、ユーザにマッチしたサービスを提供していくためにユーザ志向プロセスをつくっていきました。ダイエットをシリアスにしっかりやりたい人には食事記録と運動記録と体重計測のコースに誘導したりとか。そんなことはできないけど、なんとなく今日は揚げ物摂らなかったとか野菜は食べたとか、そんなタスクチェックでやりたい人にはこんなコースをお勧めしたり。ユーザの志向性・利用状況に応じてサービスがどんどん変わっていくような世界をつくりました。
 
とにかくコンテンツ、サービスをどんどんリリースしてきたのが2010年、2011年頃でした。この時期に現在の健康サービスの原型はほぼ完成したと思っています」
 
また、この時代のKarada Managerをベンチマークした健康サービスがどんどん増えていたという事実は筆者も同感だ。
 

更なる進化へ

「KDDI様と協業している関係で、これらの健康サービスも初期のスマートフォン対応がマストだったので、Karada Managerをスマホに対応させるプロセスは苦労したが、ここは受託事業の強みになっています。キャリア品質管理の厳しさが苦労した分、細かい技術やノウハウがいっぱい蓄積できたことが他社クライアントへの提案にも活きています」
 
 
今後の進化の方向は、
「マネタイズで考えるとauスマートパス(ドコモだとすご特)だとか、アプリ使い放題の世界観がコンテンツのレイヤーでは当たり前になってきており、サービス・アプリ単体で課金していくことが非常に難しくなってきています。同じKarada Managerですがauスマートパスのものと、ドコモ展開のKarada Managerとそれぞれレギュレーションが違ったりしていて、ひとつのユーザ基盤として見れない部分もあります。
 
我々としてはいろいろなユーザー接点を幅広く持っていこうと思っていて、ひとつはRenoBody(リノボディ)のアプリであったり、他社との協業だったり、多くのタッチポイントをつくりながらリアルも含めたプロセスデザインでマネタイズのバリエーションを増やせればと考えています」
 
やはりコンシューマ自主事業の経験を通して健康サービスプロセスで顧客と対峙してきた経験は強い。
 
今後の同社の健康サービス事業を牽引する星野さんの活動はマークしていきたい!



取材後記:
実は星野さんはランナーでもありマラソンからウルトラ、そしてトレランまでと活動の幅を広げている。
こういったところからも現場やリアルを重視するスタンスがみえてきます。
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年12月16日]