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2011.03.01 株式会社エムティーアイ ルナルナ事業部 事業部長代行  神山 桂子 氏

会員数の拡大が難しいと言われる健康サービスの中、2011年1月についに有料会員数が200万人を超えた女性向けケータイサイト『ルナルナ』。決して健康サービスを意識するのではなく、女性の視点に立って使い続けたいサービスを提供している。ユーザーと同じ視線で企画に携わる約10名の女性スタッフを束ねる神山桂子氏にお話を伺った。
神山 桂子[ こうやま けいこ ]
株式会社エムティーアイ MS事業本部ルナルナ事業部 事業部長代行。 大学を卒業後、株式会社エムティーアイに入社し、各サイト運営などに関わったのち、「ルナルナ」事業部に配属。現在は、「ルナルナ」をさらに女性に使いやすく優しいサイトにするべく日々奮闘すると共に、会社のスノーボード部に所属しスポーツなどを楽しんでいる。

体調の変化を予測できることで日々の生活が見通せる

「生理日/排卵日予測」をメインコンテンツに2001年にスタートした『ルナルナ』は当初auのみでスタートし、2006年にSoftBank、2007年にはdocomoでもサービスが始まった。 「ケータイサイトを使う女性層に、生理日を予測するとこんなに便利になる。一度使うと“あれ?けっこう楽かも!”と感じてもらえるサービスを提供しようと思っています。 ユーザーは主に妊娠を希望する方と避妊を希望する方です。生理日の予測ができることで、日々の予定などの目安にすることができたり、妊娠する可能性が高いタイミングかどうかがわかるので、自分の体調が今どのような状態なのかを知ることができます。生理の周期は女性の身体のあらゆる現象に密接に関係しています。肌の状態やメンタル面でどう変化があるかなど、生理日を管理することで知っていくこともできます」 ユーザーの利用期間の平均は、1年を越え、長い方だと7年も使っていると言う。通常、ケータイサイトの継続期間の平均は数ヶ月とも言われる中、「ルナルナ」は退会率が非常に低いと言える。退会する主な理由は、妊娠を希望する方が妊娠した場合などがある。その他にもダイエットの為に短期間の予定でサイトを使い始めたが、実際に生理日管理を使ってみたら便利で続けている人も多い。

効果的なプロモーションとサイトの進化

スタート当初は、まだ携帯サイトが普及していなかったためそれほど大きな需要があるとは見込んでいなかったが、その利便性に惹かれ継続して利用者も少しずつ増え、2008年より自社の強みであるプロモーションノウハウを活かした広告展開を本格的に始め、状況に合わせサイトも進化させてきた。 「それまでは、親和性の高いモバイル広告をメインに出稿してきました。ある程度会員数が伸びたときに、より会員数を獲得するためと、ブランドを強化して信頼を得るためにTVCMを行いました。女性にとってセンシティブなデータを預けることになるので、信用できるところでないと安心して使えないと思うので、ブランドの強化は大切です。 最初は生理日予測に対する需要があったのでその内容で告知してきましたが、より入会率を高めるために、生理日予測を中心に展開できるサービスとしてダイエットや、肌指数を出してアドバイスするコンテンツなどを準備してきました。例えばダイエットと言っても“はい、今から10km歩きましょう!”のようなカチッとしたものではないです。“今は生理前で痩せにくい時期だから休んだら!?”“今日は頑張ると効果がでやすいかも”と言った体質的なアドバイスをしています」 ユーザーが日常的に無理なく使えるようなコンテンツを心がけているとのこと。また広告の内容もメインコンテンツである生理日予測を言い続けるのではなく、他のメリットを謳うなど、少しずつ切り口を変えて多くのユーザーにアプローチしてきた。

常にユーザー視点で使いやすさを追求

「どなたでもすぐに使えるよう、シンプルで分かりやすい作りにこだわっています。ただし、改修はかなり行っています。すごく入会数や退会数に影響するわけではないですが、常に使いやすくなるよう進化させてきました。例えば、スマートフォンなどの大きな画面を電車の中で見ているときにデカデカと“次の生理日”など書いてあったら嫌ですよね。パッと見たとき自分にしかわからないような印を付けるなどの配慮をしています」 細かい配慮と使いやすさを追求することで、一度使い始めた人が使い続けたくなると言う。改修や新規の企画が常に検討されているとのこと。 「だいたい1週間くらいで考えて、2週間で調査して、1週間で社内承認を取りに行くと言った感じで、かなりハイスピードな展開を心がけています。企画のスタッフは約10名。すべて女性です。内6名は新人です(笑)。みんなでワイワイと女子高みたいですね(笑)。 常にお客様の意見を聞くようにしています。新規の企画では必ず会員にアンケートを取るようにしています。お客様からご要望があれば最短で反映するよう徹底しています。またスタートしても反応の得られないサービスは検討を重ねて改善していきます」

今後の展開

スマートフォンの登場でビジネスモデルにも変化が出てきた。今までのケータイサービスは月額課金制であったが、スマートフォンは「コンテンツ売り切り」が主流になっている。 「基本的にはスマートフォンも同じような立ち位置でサービスを行っていこうと思っています。また、今までサイトでサービスを利用していた人がスマートフォンに乗り換えることもあります。利用している方が面倒臭い手続きをせずに利用できるようになれば、引き続き「ルナルナ」を利用していただきやすくなると思います。また、スマートフォン独特の仕組みなども数多くありますので、スマートフォンならではのビジネスモデルも考えていかないといけないと考えています」 スマートフォンのアプリでは海外でも展開を始めた。グローバルな展開としては社内的にもノウハウを貯めていっている段階とのこと。果たして「生理日管理」の考え方は海外でも受け入れられるのだろうか? 「生理に対する考え方が日本人に近い国や、全く違う国など、生活スタイルは色々あるようです。紙に記入して管理している国も多いようなので、モバイルに置き換えると言う需要はあると思っています」 神山氏は「自分達が健康サービスだけを提供しているという意識はありません。女性にとってあると便利、役立つものを提供したいと考えています」と強調された。女性の生理日予測に特化することで市場を切り開いた好例となったと言えるのではないだろうか。 [ 取材日:2011年2月1日 ]