キーパーソンに聞く

2010.09.16号 健康食品とグローバルセンス

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2010.09.16
株式会社グローバルニュートリショングループ
代表取締役  武田 猛 氏

日本の健康食品は3兆1,450億円という大きなマーケットを構成しています。あらゆるビジネスがそうであるように国内マーケット限定志向では今後の発展は望めません。健康食品もそうです。この分野でグローバル視点に立ったビジネスサポートを展開している株式会社グローバルニュートリショングループ(以下GNG)の武田毅社長に日本の健康食品の今後のあるべき姿に関して伺いました。
 
武田 猛[ たけだ たけし ]
アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年1月、㈱グローバルニュートリショングループ設立、現在に至る。海外企業の日本市場参入及び国内企業の海外市場進出の支援、新規事業の立ち上げ、新商品開発などのコンサルティングを行う。現在まで、国内外合わせて 120以上のプロジェクトを実施。AIFN(アイファン)国際栄養食品協会副理事長、国際委員会委員長を務める。

 

グローバルセンスへの挑戦

学校を卒業してから一貫して健康食品業界で営業・開発に携わってきた武田氏は、米国健康産業に特化したコンサルティング会社Health Strategy Consulting社の代表Tom Clough氏から、彼らの日本パートナーとならないかというアプローチがあり、自分自身もコンサルタントという仕事に挑戦したいと起業された。

「グローバルセンスの啓発・普及を通じて健康食品業界の健全な発展を支援したいと考えています。
『グローバルセンス』とは財部誠一さんがその著書の中で提唱しているコンセプトですが、日本国内だけを見ていると実は日本のことさえ解らなくなる。世界を認識し、世界の中で自らのビジネスを、自らの企業を正確に位置付ける、という考えの元、クライアント企業のビジネスをサポートしています。その結果として、国内のみならず、全世界の人々が豊かな健康生活を送れるようになれば、と思っています。

さらに、我々の強みでもある優秀な海外パートナーとのネットワークを活用し、専門性が高いが幅広く奥の深い視点でクライアントのビジネスの成功を支援したいと思います。健康食品業界においてオンリーワンの存在となり、業界に影響を与え、業界そのものを変えられる存在となることを目指しています。」と熱い想いを語ってくれた。

GNGのクライアントは食品会社、化粧品会社、製薬会社の健康食品部門、あるいは新規事業開発部門や経営企画部門などである。また、広告会社とのセッションなども行っている。

海外のトレンドそして日本との違い

「米国は国民病とさえ言われる肥満に対応した商品が中心となっています。特に心臓疾患に対する不安が非常に強いので、それに対応する商品は強いです。

欧州は国によって特徴がありますが、全般的には米国同様心臓疾患に対応したコレステロール低減商品に人気があります。その他、プロバイオティクス、食物繊維、オメガ3脂肪酸は、欧米共に人気のある素材です」
GNGではこうした世界ネットワークを駆使して健康食品の動向を継続的にトレースしている。
続けて日本と海外との違いを伺うと、
「一番の違いは、海外では一過性のブームではなく、大きなトレンドに基づいて動いていることだと思います。日本の健康食品市場は『ヒット素材』に振り回される市場とも言えますが、海外(特に欧米)では、商品の寿命が長いです。その理由は、販売チャネルの違いがあげられます。欧米は食品スーパー、ドラッグストア、自然食品店など店舗が中心ですが、日本ではサプリメントは通販、機能性食品はコンビニが中心となります。特にコンビニ商品は商品寿命が非常に短く、ブランドが育ちにくいという点が大きく影響していると思います。

もう一つは、ヘルスクレームに対する規制が非常に厳しいということです。その結果、研究開発への投資意欲が低減し、『売り』のテクニックばかりが求められます。中長期的にみると、非常にゆゆしき問題だと懸念しています」

健康食品のあるべき姿とは

「医療と言う言葉を使うと誤解を招きかねませんが、『予防医療』『補完医療』が健康食品の役割ではないかと思います。誤解を恐れず申しますと、現在の医薬品では風邪ひとつ治すことができません。解熱・鎮痛、抗炎症など対症療法のみです。しかし食品であれば、免疫力の向上などそもそも風邪を引きにくくする、回復を早めるなどの効果がありますし、古来より知恵として受け継がれてきています。

一番必要なのはエビデンスの積み重ねなのですが、これは先ほど述べたように本格的な研究がしづらい状況です。国を上げてエビデンスを積み重ね、信頼出来る商品により『病気の少ない』生活を作ることが健康食品のあるべき姿であると確信しています。

日本食は世界で最も健康的な食事です。素材、加工方法など注目すべきものが多々あると思います。例えば、発酵食品。これは日本のお家芸の一つであると思います。日本独自の素材、加工技術から世界に通用する健康食品を生みだすことは可能だと思います。
榊原英輔さんが『リ・オリエント』とおっしゃっていますが、私も健康食品の『リ・オリエント』を確信していますし、そのリーダーは日本をおいて他に無いと思っています。ただ、今のままでは小粒の素材、小粒の商品しか育ちません。グローバルセンスを取り入れた、世界に通用するビジネスモデル構築を目指すべきだと思います」

GNGの今後の展開は

「欧米進出に加え、中国をはじめとするアジア進出を強化していきたいと思います。海外企業に比べて日本企業は根本的に戦略思考を軽視しています。過去にいくつも欧米企業の日本市場参入のお手伝いをしましたが、緻密な調査・分析を経て、オプションを評価して戦略構築を行います。
それに比べて日本企業の多くはその場しのぎ的な行動が多く、明らかに失敗するであろうことを平気で行います。これは戦略思考の軽視から来ていることだと思います。弊社がお手伝いさせて頂いたクライアント様の成功を通じて、業界内に戦略の大切さを根付かせていきたいと思います。

会員向け情報発信も更に充実させていきたいと思っています。現在、欧米アジアから最新情報が毎日入手出来る体制は出来ています。これをどのように発信していくかが課題です。鮮度のみではなく、洞察を加え、国内ビジネスに活用できるような『活きた』情報をお届け出来るように、『眼』を鍛えていきたいと思います」

日本初の新しい健康食品がグローバルに流通する日は来るのだろうか?少なくともそのチャレンジは始まっている。今後も同社の発信する情報は健康食品の行方を察知する上でも見逃せないだろう。

[ 取材日:2010年9月10日 ]

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