キーパーソンに聞く

2010.04.13号 ヒト活性化産業的保健指導アプローチとは

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2010.04.13
フィールファイン株式会社
執行役員 ヘルスマネジメント事業部長  石川 陽介 氏

人々の「元気な心と体」「豊かで快適な生活」を実現する科学を背景とした新産業として「ヒト活性化産業」を標榜するフィールファイン株式会社の健康保険組合・企業福利厚生を対象としたユニークなヘルスマネジメントサービスに注目が集まってきている。そのご担当である同社執行役員ヘルスマネジメント事業部長石川陽介氏にサービスの狙いなどを伺った。
石川 陽介[ いしかわ ようすけ ]
中古車関連ベンチャー企業、外資系コンサルティングファームを経て、2006年フィールファイン株式会社に入社。主に法人向け事業開発・商品開発を担当し、2009年度から健康保険組合・企業福利厚生を対象としたヘルスマネジメントサービスを展開している。

人の志向・変化・健康度合いにフィットしたサービス

まずヘルスマネジメントサービスの企画背景を伺った。

「カラダの状態を検査する目的で健康診断があります。しかしこれは1年間の中におけるある期間の状態を表しているだけであり、かつ義務的に実施しているだけでそのデータの活用は十分に行われていない、というのが実状です。弊社は、健康診断に限らず、それ以外の期間の様々なカラダデータも収集・蓄積・活用することでそこにビジネスが発生するはずだという基本的なスタンスを持っています。一人一人のデータを様々な角度から表現・分析していくとその人にとってのあるべきサービスが見えてきます。例えば、多くのプロダクトは作り手の論理で成り立っているのに対し、収集したデータを活かすことで、本来その人の志向や変化、健康度合いを含めて個々にフィットするように提供すべきと考えています」

同社はヒト活性化産業のキーワードとして社名の語源でもある「I feel fine!」を事業キーワードに据え、健康指標(TA=トータルアセスメント)として身体活性度・運動活性度・精神活性度・社会活性度とまさに生活の質に関係する幅の広いデータを収集するプラットフォームおよびデータベースを構築し、産学官共同研究を通して開発を進める評価エンジンによって、健康の質を定量化する新たな生理尺度(Bio Scale)の構築を進めている背景を持つ。

特定健診・特定保健指導事業での新たな動き

急激な高齢化によって疾病構造の変化が進み、死亡原因も生活習慣病が約6割を占めると言われている。また、医療費において生活習慣病の割合は国民医療費の 3分の1に達しており、生活習慣病対策が急務である。なかでも糖尿病・高血圧症・脂質異常症の有病者や予備軍の増加は顕著であり、その発症前の段階であるメタボリックシンドロームとその予備軍は男性で2人に1人、女性では5人に1人の割合と言われている(40歳以上を対象とした調査より)。平成20年度より特定健診・特定保健指導制度が導入されたが、保健指導対象者(新規メタボ)数が、特定保健指導における改善者数を上回ることが問題であることが指摘され始めている。同社ではこうした動向に対して「いかに新規メタボ突入者を減らせるか?」という視点でヘルスマネジメントサービスを提供している。

その骨子は、
1.リスク保有者の早期発見
2.底上げによる全体リスクの低減(ポピュレーションアプローチ)
3.従業員自らが気付いて変わる仕組み(変わる楽しさの実感)
の3つであるという。
「まず、『組織健康度』の見える化を行います。これは集団としてのリスク保有状況の把握です。そしてターゲットを絞り込み優先順位を設定し、健診結果を良くするための事前対策を実施します。管理者はこれらの具体策の進捗を絶えず見ることができ成果へのプロセスを確認できるようになっています。これによって、従来の仕組みでは終了するまで分からなかった『結果』をマネージすることが可能になるのです。」
つまり、健診前にデータを根拠としたメタボ予備軍に対策を打っている。もっと直接的に表現すれば『特定保健指導(1人あたり数万円のコスト)該当者の減少を目指す』のである。

戦略的保健事業

「このサービスは集団でのサポートが中心になります。これは『健康改善を実施するのは一人じゃない!』という環境をつくる意味があります。さらにその人の意識レベルにフィットしたサポートが大切です。また、例えば『体重計測は火曜日だけでいい!』ということで健康改善行動に対する意識のハードルをいかに下げるかの工夫もしています。今までの保健指導では『●●はダメ、□□もダメ』というように今まで出来ていなかった、気付いていなかった多くのことを強いる傾向があったのですが、『××だけでいい!』というアプローチも重要ですし、脱落を防ぐ効果が期待できます」

同社のサービスは、データに基づいた成果志向の「戦略的保健事業」と位置づけられる。厳しい財政状況である健保にとって、今後ますます膨らむであろう特定保健指導コストをいかにコントロールしていけるか?が急務である。フィールファインのように直接的なコストメリットを提供できるサービスに興味を抱かないはずがない。

同社のサービススタイルは、企業全体の健康を推進していくための概念として注目されている「健康会計」にも通じるユニークなアプローチであるともいえ、今後しばらく目が離せない企業である。

[ 取材日:2010年3月29日 ]

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