キーパーソンに聞く

2010.02.24号 身体を改善しパフォーマンスを上げる、新たな学びのスタイル

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2010.02.24
一般社団法人 日本スポーツ&ボディ・マイスター協会
代表  阿部 雅行 氏

身体と心の専門家「ボディ・マイスター」通称「からだソムリエ」というユニークな資格養成スクールを開校し、昨秋より活動をスタートした日本スポーツ&ボディ・マイスター協会の代表である阿部雅行氏にその背景と今後について伺った。
阿部 雅行[ あべ まさゆき ]
富士銀、みずほコーポレート銀、グロービス、野菜ソムリエ協会を経て、05年経営人材コンサル会社ボディチューン創業。銀行時代90キロのメタボ。社会人のパフォーマンスの源泉は健康をモットーに、健康への高い意識と実践が伴う人材「からだソムリエ」認定機関設立。趣味:30歳後半からはじめたトライアスロン(ロタブルー CEOカテゴリーでは2連覇)。現在は大自然の中を走るアマゾンマラソン2010、サハラマラソン2011完走に向けてトレーニング中。

「からだソムリエ」とは何か?

からだソムリエとは、身体と心に関する基本的な知識やスキルを理解し、その上で自らの身体で体現でき、運動をすることが大好きで、健康的であることの大切さをよく理解した、人生を活き活きと生きている身体も心も健康的な人たちをイメージしているという。

●ラン・マイスター
●アウトドア・マイスター
●トライアスロン・マイスター
●トレイル・マイスター

4つのベーシックコース第一期がスタートしている。例えばラン・マイスターのカリキュラムをみてみると
・体幹コアトレーニング(ピラティス)
・ボディバランスチェック
・走りのメカニズム1・2
・故障予防と身体のメカニズム
・水分補給、体重管理、サプリメント、ウェア、シューズ選択眼、マナー
など、自らのスキルアップだけでない競技全体や健康知識までが含まれている。
「我々は、もっと健康になりたいと思っているけど一歩踏み出せないとか、ランニングをやっているけれどもう少しレベルアップしたいと思っている人たちのための学校です」

日本スポーツ&ボディ・マイスター協会設立のきっかけ

人材育成コンサルティング会社ボディチューンを運営する傍ら、2009年3月に「日本スポーツ&ボディ・マイスター協会」が設立された。
「普段、ビジネススクールで20代から50代ぐらいのビジネスマンに対し講義を行っています。その多くの受講生といろいろな話をする機会があるのですが、必ずといってよいほど話しに出るのが、“ビジネスのスキルを高めていくのは当然パフォーマンスに繋がるから大事だけど、それと同時に自身の資本となる身体のことをもっと学べたらいいよね”といった話題です」と阿部さん。

彼は以前、仕事の忙しさにかまけ、体重が90kgまで増加したとき決意しスポーツクラブに通うことにした。そこで様々なスポーツ、フィットネスの専門家の指導を受け、今やシェイプアップに成功し現在も維持するだけでなく、トライアスリートとしても活躍している。身体づくりを専門家にサポートしてもらった自らの経験がからだソムリエへの発想のベースにもなっている。

「ビジネススクールの受講生の方々は、皆優秀なのですが、健康面ではけっしてよいとはいえない状態なのですね(笑)。私自身も経験したのでわかるのですが、このまま放っておけば階段を上がるのがきつくなり、夜まで仕事すると、意思決定の適切化がどんどん落ち、一日通して低レベルな状態が続きやすくなります。結果、ビジネスパフォーマンスが落ちてしまうのです。それが身体の状態を改善し、機能的な身体にしていくとビジネスだけでなく、生活すべてのパフォーマンスが上がっていくのです」

将来的にはどんな会社でも100人社員がいるうちに1人のからだソムリエがいて、気軽に身体のこと、健康のこと、スポーツのことを啓発やアドバイスしてもらえる関係が成立する状態にしたいと意欲的だ。

アスリートへの新キャリア提案!

現在の各コースの講師はその道のプロフェッショナルや現役アスリートが顔を揃える。ここにもからだソムリエ的な工夫があるのではと聞いてみた。

「いろいろな競技でプロアスリートであったとしても引退すると、かつての技術や能力を発揮できる場が少ない。アスリート自身が培ってきた財産、宝を埋没させていることを凄くもったいないと思っていました。
別の事業でトライアスリートやランナーを金銭的に支援する活動をしていく中で、彼らが競技を続けていくうえで、将来的にこれで食っていけないと思った瞬間に覚悟がなくなってしまうケースをみてきました。つまり現役中のアスリートにもバッドサイクルが回っている可能性があるということに気付いたのです。そこで彼らをこの協会の講師として育成していく。そうすれば現役中も講師料という副収入になるし、現役を引退した後にはコンテンツを一緒につくったり、いろいろな講義をしていく中でキャッシュを彼らに回していくことができる」

この仕組みはコース受講者にとってもトップレベルの競技者から生で学べるメリットがある。
現在用意されているラン・トレイル・トライアスロン・アウトドアの4分野はお互いにフィールドとしては重なる部分もあるが、プレイヤーの裾野は広く、生涯を通じて活動できるライフスタイルアクティビティであるので、講師候補と受講者候補の母数は大きい。つまり開拓の余地は大いにあると思われる。

次なる展開へ

2010年2月現在で実施されたのは、先にも記した4コースともにベーシックコースである。次なる展開について伺った。

「ベーシックの次のコースはアドバンスドといいます。最初のベーシックは自分が理解して自分が楽しむという状態を作り上げること。次に自分が理解できたら人の欲求として、人に教えたい、場合によってはその経験でお金を稼ぎたいなどといったニーズが出てくると思います。アドバンスドでは、人に対してのコミュニケーションスキルや人に対して伝えるコーチングスキルなどに加えて、ランニングの専門知識や、より詳しいメカニズムなど色々な情報をインプットするクラスになります。

最後にアドバンスドの上にプロフェッショナルを用意しています。それはまさに起業するために、MBAスクールでやっているような最低限の内容、マーケティングやプロジェクション、人に対してのプレゼンテーションやお金の集め方なども一緒に教え、例えばランニングクラブを立ち上げるにはどうしたらよいか?お客さんを集めるにはどうしたらよいか?など、プロフェッショナルコースとして、私の金融機関での経験も活かした内容を提供したいと思っています」

3年後には会員数2万人。会場も全国で8カ所くらいをイメージしているという。
まだはじまったばかりの「からだソムリエ」に筆者が注目した理由は、本来日本にあった学びあい、教えあいの構造をスポーツと健康という大きなフィールドで構築していこうとしているのでは?と直感したからだ。正にそれは確信となった。

からだソムリエに様々な企業から資格制度の開発オファーも寄せられているという。これはスタッフにとって必要なスキルを第三者機関に整理、体系化してもらいたいニーズを持つ企業が存在するということだ。このからだソムリエがどのように進化、拡大していくかじっくりと見守りたい。

[ 取材日:2010年2月2日 ]

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