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2006.11.17 キリンウェルフーズ株式会社(現・ヤクルトヘルスフーズ) マーケティング部 ブランド担当  中川 紅子 氏

ダイエットをサポートするミールリプレイスメント食品で急速な成長を遂げているブランド「リエータ」。手がけるのはキリンウエルフーズ株式会社。今回は、リエータのブランドマネジャー中川紅子さんに、リエータの考える「継続サポート」、そしてリエータへの「想い」を聞きました。
中川 紅子[ なかがわ こおこ ]
大学を卒業後、1996年にキリン・アスプロ(現キリン ウェルフーズ)に入社。首都圏営業部にてドラッグストアへの営業を経験。1998年、営業企画部へ異動した後、2000年にマーケティング部の新商品開発担当に。2003年「リエータ」のブランドマネジャーになる。

ダイエットビジネスで注目の的「リエータ」

今、ダイエット市場で新しいコンセプトを打ち出し、生活者に支持され大きく売上を伸ばしている商品があります。 キリンウェルフーズのリエータ。ダイエットをサポートするミールリプレイスメント(代替食:1回分の食事を置き換えて使う食品のこと)市場に属する食品です。 リエータは2004年4月に販売を開始。その後の売上は、 ・2004年で12億円 ・2005年で45億円 ・2006年で70億円(見込み) と、目を見張るものがあります。その人気の秘密は一体何でしょうか。

「続けること」を本質的に解決するとどうなる?

「ダイエットで一番難しいのは『続けること』です。続けるためにはまず楽しさが大切です。そのための工夫をまず考えました。商品名のリエータはイタリア語で、『楽しい・嬉しい』といった意味があります」 「それに加えてリエータでは、単に体重を落とすことを目標にするのでなく、きれいになっていく自分が誇りに思え、なりたい自分を目指すことが気持ちいい、そんな世界観をお客様といっしょにつくり、ダイエットを続けることを根本から支えたかったのです」という中川さん。 ダイエットでは、 ・つらい ・苦しい ・孤独 ・我慢 ・努力 といった継続を阻む共通の課題があります。リエータは、これらの点を商品面、サービス面、価格面で解決提案しています。具体的には、
●商品面
長く続けてもらうために「おいしさに徹底的にこだわる」だけでなく、個人の嗜好性に配慮。様々な味を試せるパックと、ドリンクタイプとスープから自分の好きな味のみを購入できるアソートパックを用意しています。 また、スープタイプではお客様からの、食事として暖かいもの、噛み応えのあるものが欲しいという要望から、一層、満腹感のある「野菜たっぷりスープ」も提案しています。
●サービス面
ダイエットは順調にいかない方が多いのが現実です。その時に役立つ、ブログを使ったコミュニティサイト「リエータカフェ」を用意。 このサイトでは、仲間を作って悩みを相談したり、専門家からのアドバイスを得ることができるだけでなく、仲間同士で情報交換やアドバイスがしあえるようになっています。このサイトの登録者数は17,000名を超え、1日の書き込み数は1,300件、ページビュー数(閲覧数)は、1日25,000ページビューといいます。
●価格面
1食1コイン(500円)を目安に商品を設計。競合商品が1000円を超えるものもある中、続けやすい価格帯に設定しています。 「リエータは購入していただいてからが『始まり』と思っています。リエータカフェでは、管理栄養士の根本理英子さんにも参加していただき、正しいダイエット法をお伝えしています」 「ダイエットの実施には、例えば薄着になる夏前とか水着を着る夏場とか季節的な要因があります。また一生のうちでも、ライフステージの変化により、必要な期間とあまり気にならない期間があるのも事実です。リエータは、季節やライフステージの変化の中で、適宜自由に使える、きれいになりたいと思っている方々の一生の中に溶け込む商品でありたい」とも中川さんは語ります。

「リエータへの想い」、それは、、、、。

商品開発で大切なこと、それは商品への想い。どんな想いでその商品と自分が繋がっているか、、とても大切な視点です。 「私はリエータを自分の子供と思っています。産みの苦しみは当然ありましたし、今はどれだけかわいがって育てるか、好きになってもらうか、を大切にしています。リエータの母親として、そしてブランドマネジャーとして、リエータのことをだれよりも理解し、特長をだれよりもアピールできる、そんな自分でい続けたいと思っています」 「また一人では育てきれないのも事実。営業・開発・企画・生産とチームで育てているのですが、リエータの世界観を全員が共通してもてるよう様々な説明ツールを用意し、チーム全員でメッセージの統一化を図っています」と中川さん。

これからのリエータ

大きな成功を納めているリエータ。中川さんは今後リエータをどんな姿に育てていくのでしょう。 「継続しやすいサポート環境をさらに高めていきたいと考えています。商品面では、ドリンク・スープ以外の商品バリエーションを増やし、より飽きずにきれいになってもらえる工夫をしたいです。また、サービス面ではリエータカフェの携帯電話との連動など、日記などを簡易に記録できるしくみやサポートプログラムを考えています」 「また、流通面では現在、通信販売とドラッグストアのみを販売チャネルとしているのですが、お客様にとって喜ばれるチャネルを開発し、さまざまなニーズに対応し、いつでもどこでも手に入れられるようお客様との接点を拡大したいと思います」 「リエータは単にダイエットをサポートする商品という位置づけのままにはしたくないと思っています。なりたい自分になる一つの手段としてダイエットがあり、それをリエータはサポートしている、そんな世界観の中でさまざまな挑戦をしていきたいと考えています」と中川さん。 ダイエットに新しい風を送り込んだリエータ。7月にはリエータカフェのオフ会を初めて行い盛況だったとのこと。オフラインでのサービス展開含め、今後のさらなる成長に注目したいと思います。
■中川さんが企画する上で大切にしていること
・ジャンルを問わず本を読む ・人と会う ・体系的に健康について知る(中川さんはヘルスケアアドバイザーという資格を取得)
■取材を終えて
中期計画策定の真っ最中の多忙の中、こころよく取材に応じてくれた中川さん。ご自身のダイエット経験から溢れる生き生きとした姿がとても印象的でした。
■今回のビジネスポイント
・現在生活者はどんな課題があり、提供者としてどの課題にフォーカスし、商品とサービス含め、どんなサポート環境を用意するか。 ・継続できるしくみの具体的な工夫はなにか。 [ 取材日:2006年10月18日 ]