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2015.1.21
株式会社ウェルビネ 
代表取締役 石見 一女 氏

今後のヘルスケア業界が発展していくプロセスには異業種のノウハウの活用が極めて重要だと筆者は考えています。
 
そのひとつのアプローチ事例とも言えるウェルビネのチャレンジを同社代表取締役である石見さんに伺いました。
 
興味深いですよ!
プロフィール
石見 一女[いわみ かずめ]
1959年5月生 武庫川女子大学文学部卒業
1985年に25歳で起業。組織人材活性化コンサルティングなどを経て、2011年に目標達成支援コンサルティングの株式会社Be&Doを設立。2013年に健康オンラインサービス会社株式会社ウェルビネを設立。代表取締役に就任。健康オンライントレーニングプラットフォームのhabi+Do!は第10回eラーニング大賞厚生労働大臣賞受賞。健康100日プロジェクトは健康科学ベストセレクションズ入選。

なぜヘルスケアにたどり着いたのか?

「私は、元々“チーム生産性をいかに高めるか”についてコンサルティングの仕事をしていました。生産性をいかに高めるか、という課題を追求していくと、モチベーションやストレス、人間関係、セルフマネジメントなど、『ヒト』の思考行動を踏まえなければなりません。
 
私が『ヒト』に対する興味を持ったことの背景です。
 
1998年に『人と組織の活性化研究会(略称:APO研)』を立ち上げ、働く人のイキイキの研究をライフワークとしています。APO研は組織論で日本の第一人者の加護野忠男先生、経営行動科学分野の第一人者の金井壽宏先生などもご参加いただいている産学連携の贅沢な研究会です。2014年から一般社団法人化しています。
 
さて、私のキャリアですが、組織活性化コンサルティングから人材ビジネスを経て、2011年に株式会社Be&Doを立ち上げました。Be&Doは『IT×人のかかわり』で目標達成を支援する手法と仕組みを研究開発しています。目標を達成するには、やらされ感では決して良い結果にはなりません。
 
目標を常に意識し、楽しくよい行動を習慣化することによって、目標達成の成果が高められるのです。その仕組みをITのサービス(habi+Do!)として提供しています。
 
なぜ、私がヘルスケア分野に関心を持ったのか、ということですが、“イキイキと働く”ということを追求していくと、心身の健康が基本になければ成し得ないのです。
 
また疾病や休業、離職による人材の新規採用コスト、育成コストなども会社の経営にとって大きな負担となっています。従業員が自発的に楽しく健康目標を実践することで、会社も本人もイキイキと生産性を高める仕組みが提供できないかというところからヘルスケアへの関心を持ちました。
 
当初、Be&Doの目標達成支援サービスのひとつとして、健康の目標達成サービスを開始しました。健康事業の名称をWellbena(ウェルビネ)と名づけました。ウェルビネとは心身ともにより美しく健康的で豊かな人生を目指す集団『Well-being the nations』という意味です。
 
株式会社ウェルビネは、より健康事業に特化させるために、Be&Doから事業を分けて2013年8月に設立しました」
 

ウェルビネのサービスコンセプトは?

ウェルビネの提供する健康100日プロジェクトというサービスは、チームで健康目標を共有し、100日間ゲーム感覚で健康目標に沿った実践を行うことで生活習慣の改善、ダイエットや運動習慣の定着、メンバー間コミュニケーションが活発になるという効果が得られます。
 
当初、健保組合様を通じて職場の健康改善プログラムとしてご提供いただけないかと考えていましたが、新しいプログラムであることなどで、なかなか導入が進みませんでした。そこで、アプローチ先を企業の人事を通じて進めていただいたところ導入企業が増えて来ました。
 
もとより、ウェルビネの目指すところは予防医療ではなく、組織開発や職場のコミュニケーション開発、セルフコントロールによるタイムマネジメントやストレスマネジメントなのです。組織生産性向上、職場のコミュニケーション向上を打ち出すことで、人事部の理解が得られたと思います。
 
健保組合様、福利厚生会社様の会員サービスメニューとして、『健康オンライン講座100日チャレンジ』というサービスを提供しています。これはBtoBtoCサービスで、ウェルビネが提供する健康に関するトレーニング講座を個人で申込み、100日間受講するというグループオンライン講座です。
 
トレーナーの指導の下、見ず知らずの受講者同士でもコミュニケーションが深まり、楽しく成果が出る講座として注目いただいています。健康支援事業ですが、個人向けサービスは多様な広がりがありますね!特にスマートフォンなどの機能を使った健康データ収集、管理サービスはますます可能性があると感じています」
 

見えてきた課題や可能性について教えてください

「経営側が従業員の健康に積極的に関与するという風潮は、日本ではまだまだのところがありますが、ここ半年ぐらいで変化を感じてきています。経営の課題は、イキイキと高い生産性を生む職場づくり、個人のモラル開発にありますので、健康100日プロジェクトはその点をもっと訴求していきたいです。
 
健康100日プロジェクトは単発のサービスですので、継続して使いたい、また、健康改善をオンラインで指導したいという企業団体様向けに年間でご利用いただくサービスとして提供していきたいです。また、職場の健康の旗振り役として『ウェルネスガイド』という人を育成していきたいと思います。
 
ウェルビネではイキイキとした人を
・目標を持っている
・自律している
・仲間と認め合える
・健康的でアクティブ
以上のように定義しています。
 
ウェルビネのサービスを通じて世界中の人をイキイキとさせたいです。
 
これから先進国では人材不足になるというデータが出ています。世界的に優秀な人材が不足するという危機感から、米国の組織行動論で著名なジェフェリー・フェファー教授が『経営者は、人にもっと注目し、“心身の健康、幸福”といった恩恵を従業員に提供すべきだ』と発信しています。
 
ウェルビネが提唱している『健康を経営に』がこれからの日本を救います。
ぜひ、ご興味のある方はご連絡ください!」



取材後記:
いかがでしょうか?
職域保健事業をずっとやっているスタンスからは見えてこないフォーカスがあると思うのです。
 
こういったアプローチ応援していきたいです。
既存事業に新たな風を吹き込んで融合して発展してもらいたいです。
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2015年1月12日]