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2014.7.23
有限会社ウェルネススポーツ 代表取締役
NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会) JAPAN 副代表
齊藤 邦秀 氏

パーソナルトレーナーという職種がヘルスケア業界全体の中でも今後とてつもなく重要なポジションを担うのではないかという仮説をHBWとしても、筆者個人としても持っている。その可能性についてNESTA JAPAN副代表としてもご活躍の齊藤邦秀さんにお話を伺った。
プロフィール
齊藤 邦秀[さいとう くにひで]
1972年2月7日生まれ、血液型:A型、山形県出身。東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻運動処方専修卒業。学生時代からアスレティックトレーナーとしての活動をはじめ、卒業後に本格的にパーソナルトレーナーへの道を進む。2004年に独立し、Wellness Sportsを設立。2006年法人化。現在は「ライフスタイルコーチング」の理念を掲げ、高齢者や低体力者のリコンディショニング、一般人の健康づくりやボディーメイク、アスリートやスポーツ愛好家のパフォーマンス向上、子どもの運動能力開発などに関わり、トレーニング指導を行っている。また、後進の育成、フィットネスクラブ・スポーツチーム・企業・学校へのトレーナー派遣、プログラム開発、TVや雑誌のトレーニング記事監修等、トレーナーとしての知識・経験をフル活用し、幅広い分野で活動している。

なぜパーソナルトレーナーなのか?

齊藤さんをパーソナルトレーナーへと進ませたきっかけは、大学時代の自身の怪我だったそうだ。
 
「なぜ怪我をしたのか?自分のカラダを知り、どうすれば回復していくのかプロセスを調べていくうちにトレーナーになりたいと思いました」
このことで大学に入り直すというチャレンジをやってのけるのだ。
 
パーソナルトレーナーとして様々なプロセスがあると思うがどこが面白いかを伺うと、
「全部が楽しいです。人が変わっていくプロセスをみることができることは喜びです。最初、多くのクライアントは自分で解決できない課題を持ってパーソナルトレーナーと出会う時点ではリテラシーもない。でも、それがちょっとずつ、気づき、トレーニングの質も上がっていき、カラダも変わっていくのです」
 
現場の話を楽しそうに語る齊藤さんが大切にしているコンセプトがライフスタイルコーチングだ。
 
「1週間は168時間あります。週1回のパーソナルトレーニング1時間が167時間の質を高めることができる影響を持たなければなりません。当然休養も含む食に関しても相手のライフスタイルを理解してアプローチできないといけないのです」
 
社名であるウェルネススポーツのウェルネスの意味は心とカラダ。
つまりライフスタイルであり、そこが齊藤さんのドメインなのである。
 

パーソナルトレーナー現場とビジネスを結びつける!

一般的なフィットネスクラブのスタッフに栄養の相談をしても納得できるアドバイスが返ってきたことが無い筆者の経験を話すと、現状課題のひとつとして認識しているとのこと。
 
齊藤さんが現在自身の会社活動と同様、力を入れているのがNESTAである。
 
NESTAは1992年からトレーナーとフィットネスに関わる人材育成を行っている団体で、今では世界20カ国でNESTA資格ホルダーが活躍しているという。
 
運動指導をするうえでのベースとなるPFT(パーソナルフィットネストレーナー)資格を中心に13のスペシャリスト資格制度を運用している。ビジネス現場に直結する、つまりマーケットニーズを反映した内容になっており、筆者が興味のある栄養カテゴリーではフィットネスニュートリションスペシャリト資格、パワーサプリメントスペシャリスト資格があり充実している。
 
日本国内の資格ホルダーは順調に増え、約5千人。毎年行われているパーソナルトレーナーセッションの2014年版が8・9月に東京・大阪会場で開催されるのだが、齊藤さんが担当するセッションテーマが極めて興味深い。
 
「心拍計を使った指導で成果を出し、ビジネスにつなげる画期的方法」
「最先端ツール活動量計を用いたウェイトマネジメント方法」
 
いかがですか?このテーマ設定。
 
ビックデータ活用をテーマとした新たな価値創造がモバイルヘルス(様々な健康行動をトラッキングするデバイスを使った健康活動)によって活性化し始めていることは多くの読者も知る通り。安倍政権下の成長戦略にもデータヘルスは位置づけられており注目されているのだが、サポートプレイヤー(つまりアドバイザー)が圧倒的に足りていないのだ。この社会構造的ニーズのど真ん中に刺さりそうなセッションテーマだと感じるのは筆者だけではないはずだ。
 
まさにパーソナルトレーナー現場とビジネス可能性を結びつける活動を展開している齊藤さんである。
 
パーソナルトレーナーが今後もフィットネス業界に限らずヘルスケア業界までにまたがり活躍できる可能性が今正に広がっているのだと思う。
 
「今までトレーナー職は、“運動ができるお兄さん”というイメージしかなかったけど、若いときに現場で売れっ子トレーナーを目指して経験技術を磨き、年齢を重ねて管理の仕事を覚え、新たなサービス開発にチャレンジし、経営に参加するというキャリアデザインが可能」と言う。
 
筆者が思うに、今後のヘルスケアサービス事業の構築・運営者にとってプロジェクトスタイルの参加であれ、現場経験豊富なパーソナルトレーナーをメンバーに招かないこと自体がおかしいという時代がもう来ているのかもしれない。



取材後記:
一言でいうと「一緒に仕事したくなる方」です(笑)
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年7月16日]