プロフィール.jpeg

2014.11.5
株式会社スパイラル 
代表取締役 酒匂 敦 氏

ウェルネス・ビジネスはキャラバン方式やデリバリーと相性がいいと我々は考えている。
 
いろいろな具体的なビジネスモデルをサーチしていると面白いモデル「キッチンカーでサラダ・ランチ」という情報を見つけた。
 
その若き経営者である酒匂さんにどんなコンセプトか伺った。
プロフィール
酒匂 敦[さこう あつし]
1984年生まれ。2008年早稲田大学第一文学部卒業。大学卒業後、映画プロデューサーの専門学校に留学するため、ニューヨークへ渡米。学校に通いながら、ミシュラン星獲得レストラン、Plan Do Seeの海外初店舗、Greenwich Grill/Sushi Azabuでサービススタッフとして従事。2010年ニューヨークのサラダ・ランチ文化に感銘を受け、帰国。株式会社スパイラルを立ち上げ、WISH FRESH SALADのキッチンカービジネスをスタートさせる。NHK、日本テレビ、テレビ朝日、雑誌AERAなど多くのメディアで取り上げられる。

なぜ、サラダなのですか?


「大学卒業後、ニューヨークに映画の勉強をしに留学をしていて、そこでサラダをメインの食事として食べる文化に触れました。マンハッタンにある語学学校のそばにあるデリにサラダバーがあって、店員さんが取ってくれるスタイルでした。最初、頼み方が分からなかったので聞いてみると、好きなトッピング、好きなドレッシングでサラダつくるよと。店員さんがボールにミックスグリーンを入れて、トッピングを入れて、ドレッシングも選んだものを入れてサラダをつくってくれました。
 
元々あまり野菜は好きではなかったのですが、まず美味しいと思いました。自分のカラダが気持ち良いというか、シャキシャキしたものが食道を通って胃の中に落ちていく感じがし、これはいいなと思いました」
 
これがメインの食事としてのサラダとの最初の出会いだったとのことだ。

サラダ3つ.jpeg
映画学校の過程を終了し、その後の身の振り方をどうしようかと考え悩んでいた時に、また違ったデリに入った時閃いたという。
 
「そのデリに入ると50種類くらいのトッピングの彩りの美しさになんだか人生をみた気がしました。トッピングの一つ一つが黒いオリーブだったり、赤いトマトだったりいろいろな色があるから毎日も彩り鮮やかになるんじゃないか、いろいろな日があってその一日一日を人生彩り鮮やかにしていくきっかけをサラダでできるのではないかと感じました。そう感じてから1ヶ月後には帰国していました」
 
帰国後サラダ屋構想の実現へと動き出した。とはいえ何から手を付けていいか友人たちに集まってもらい相談したという。最初からエキナカ出店を想定した酒匂さんに大手不動産に勤める友人から身の丈に合ったやり方からスタートしろとのアドバイスを受けたという。
 
そして、キッチンカーでスタートを切ることになる。選んだ理由は身の丈に合ったスモールスタートであることや、サラダをランチとして食べる文化がまだ無いのでどこでそのニーズがあり、人に刺さるかをテストマーケティングするにもキッチンカーが最適だったからだった。
 

いろいろな工夫でみえてきたもの


そして2011年4月に目黒アルコタワー近くでスタートする。
この場所は紹介でもあったのだが事前調査も怠らなかった。
 
「現地調査で、ランチでどれくらい人が外出しているか。お弁当屋さんがどれくらい売れているかを観察して勝負できると判断しました」
 
同年10月には週末を中心に開催される青山の国連大学ファーマーズマーケットへも出店することになる。
 
「目黒は単独だったので、他のキッチンカーもいるなかでウィッシュ・フレッシュ・サラダをどうやって選んでもらうか。看板の置き方やお客様が振り向いてくれる声の掛け方などをトレーニングしたかった」のだそうだ。
 
そして今でもキッチンカーオペレーション品質に磨きをかけている。

サニー全体像.jpeg
 
ウィッシュ・フレッシュ・サラダは毎回出店しているキッチンカーの中でも平均売上げを下回ったことは一回も無いという人気ショップになっていった。そして昨秋からスタートしたのが目黒でのデリバリーだ。最近ではデリバリー配数は順調に伸び、平日売上構成の約半数となっている。事前注文で受注しているため、ロス管理にも貢献しているという。
 
「水曜日はサラダと決めているのでお願いね」というお客様もいて週一サラダスタイルのリピーターが増えている。新規男性のお客様が来店してくれたときにデリバリーを案内したところどこかのソーシャルメディアで紹介してくれたらしく、その後に来店無しでメール注文&デリバリーというパターンも出てきている。
 
今後のプランを伺うと
「サラダがランチになるよという文化を広め根付かせたい。サラダをきっかけに彩り鮮やかな毎日にする提案をしていきたいです。その意味でも様々なコラボレーションが可能だと考えています。
 
ヨガ教室にレッスン後に合わせてサラダ・デリバリーしたこともありますし、映画に出てきたサラダを上映後につくってみんなで食べたりとか、ランニングトレーニング後のデリバリーとか、サラダと言えばウィッシュ・フレッシュ・サラダと言われるようになりたいです。
 
具体的にはデリバリー拠点となる、実店舗1号店をクラウドファンディングで計画中です。その後も他店舗展開をし、都心のビジネスパーソンに手軽で美味しいサラダを提供します。
 
デリバリーを主体に、手軽に注文しやすいという意味でのアクセスの良さで、サラダ市場を創造していきたいと思います。ウィッシュ・フレッシュ・サラダを食べて、カラダの調子が良いよ!なんて仰って下さるお客様をもっともっと増やしていきたいと考えます」
 
たかがサラダ、されどサラダ。
ウィッシュ・フレッシュ・サラダがどこまで活躍してくれるかとっても興味深いし、応援していきたい。



取材後記:
キッチンカーでのサラダビジネスは間違いなくウェルネスサービスだなと思いました。とても可能性を感じる取材でした。


 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年10月22日]