睡眠が人体に与える影響

スポルツ アドバイザー 今村貴幸
全国的に梅雨明けし、連日猛暑が続いています。この時期は「暑さで夜眠れない」との声をよく聞きます。睡眠は健康活動の中で最も重要といえます。暑さから熱中症への心配もありますが、睡眠が足りているのか?その質はどうか?見直すことも大切です。 今回は睡眠が人体に与える影響についてご紹介します。
睡眠の目的
睡眠は、心身の休息と回復、記憶の再構築などの高次脳機能に大きくかかわりを持っています。また、睡眠中に2~3時間おきに成長ホルモンが分泌されるため、創傷治療や肌の新陳代謝は睡眠時に促されることになります。つまり、心身のリセットや回復のためには必要不可欠な行動といえます。
適度な睡眠時間とは?
睡眠時間については個人差が大きいですが、7時間以上8時間未満で最も平均寿命が長くなるというデータがあり、健康に良い睡眠時間といえるでしょう。 ラットを用いた実験では、完全に睡眠を遮断した場合、約10~20日で死亡する結果となり、食物を与えなかった場合よりも短い結果となりました。睡眠が人の健康にとって非常に重要な役割を担っていることが分かります。
よい睡眠とは
睡眠の質が日中の活動に影響を及ぼすことが考えられ「質のよい睡眠」が重要となります。 <質のよい睡眠とは> 入眠時間が短い 中途覚醒が少なく、睡眠が安定している 浅睡眠から覚醒へスムーズに移行する。目覚めた時の眠気が極めて少ない (良質な睡眠のための環境づくり 北堂真子 バイオメカニズム学会誌 Vol.29、No.4 2005) 良質な睡眠を確保することは快適で健康的な生活につながります。睡眠の状態(質)を観察することで、ライフスタイルに合わせた「質のよい睡眠」を目指すことができます。 睡眠を計測できる機器が出ています。参考までにご覧ください。 株式会社タニタが販売している、睡眠状態を簡単に計測できる「睡眠計スリープスキャン」 http://www.tanita.co.jp/products/models/sl501.html 株式会社東芝も拍から睡眠の深さを測る、携帯型(腕時計型)睡眠計測器を開発 http://www.toshiba.co.jp/rdc/rd/fields/06_t05.htm
睡眠時間と肥満の関連性
睡眠は肥満との関連性もいわれています。睡眠時間が短い場合では、食欲を抑えるレプチンが少なく、逆に食欲を増進させるグレリンが多くなります。そのため、食欲が増進し肥満になる可能性が高くなるのです。また、遅い時間まで起きていると活動時間が長くなり、深夜に食べ物を口にする機会も増えてしまいます。 夜遅い食事が肥満を促進するといわれているのには、もう一つ理由があります。夜遅い時間に食事を摂ることで、脂肪の蓄積に関連性のあるタンパク質としてBMAL1(ビー・マル・ワン)が存在します。体内時計と関連性が深く、深夜に増加し、日中は減少します。特に夜の10時から夜中の2時にそのピークがあり、脂肪を蓄える働きがあります。BMAL1が増える夜中に食事をすることは避けることが望ましいです。逆にBMAL1が最も減少するのは、昼間の3時。夕方に向かってお腹が空いてくる時間なので、この時間にちょっとしたおやつを食べるのは望ましいといえます。 メタボリックシンドロームや脂肪の増加が気になる方は、夜早めの食事が重要です。規則正しい生活が不可欠であり、朝の目覚めの時に朝日を浴びることで、毎回体内時計をリセットするようにしていきましょう。