今村貴幸 Ph.D コンディショニング・テクニック

今村 貴幸

2011年9月博士(医学)取得
現在、東海大学体育学部非常勤講師、中央大学商学部兼任講師、(株)スポルツにてスポーツアドバイザーを務める。

2012.07.12号 年代別ダイエットの勧め

 
世界的に見て、日本人の高齢者に肥満者は少ない傾向にあります。これは、中年期以降に肥満者が何らかの生活習慣病に罹り、死亡率があがったことによる結果として、適正な体脂肪率の高齢者が残っている可能性が考えられます。また、一方で、高齢者においては、中年期とは異なり、やや体脂肪がある方が長生きするという報告もあります。
 
これまで、加齢による様々な生理学的変化を考慮してのダイエットについてはあまり注目されていないように思います。しかし、加齢による身体的な変化に合わせて適正な運動実践と食事コントロールは、特に高齢者にとっては健康を維持するために必要です。
 
今回は、年代別の効果的なダイエット方法についてお話をしていきたいと思います。

 

人の加齢による変化について

一般的に人の筋肉は30歳を過ぎたあたりから10年ごとに約5%の割合で減少していき、60歳を超えると減少率は加速していきます。特に、腕よりも脚の筋量の減少が大きくなります。老化は脚からと言いますが、まさに脚の衰えが加齢とともに強くなります。
 
また、体重や皮脂厚(皮下脂肪の厚さ)は50歳代から60歳代にかけて大きくなる傾向にありますが、60歳代から70歳代では逆に減少することが知られています。筋量の低下に伴い基礎代謝も変化します。20歳代と比較すると以下のように減少します。
 
男性 40歳代で約3.2% 60歳代で約13% 70歳代で約21% 
女性 40歳代で約3.3% 60歳代で約8.3% 70歳代で約17%
 
これらの筋肉量の低下、基礎代謝の低下や日常活動量の低下などによって体脂肪の増加が考えられます。

 

高齢になってもダイエット(シェイプアップ)は必要なのか?

前述したように、余剰な体脂肪は生活習慣病を招き、結果として心血管疾患や脳血管疾患などの発症率が高まります。そのため、適正な体脂肪を維持することが非常に大切になります。適正な体脂肪に近づけることは、肥満による生活習慣病などの合併症を予防・改善できます。
 
しかし、肥満者における生活習慣病から心血管疾患、脳血管疾患などの死亡率が高いのは中年期であり、高齢者では中年期と比較して肥満者が健康を害したり死亡に結びつくことは少ないと言われています。
 
逆に、高齢者が若年者と同様に食事コントロールが中心のダイエットを行うと、低栄養、活動性の低下、易感染、骨粗鬆症の促進など、高齢者特有の望ましくない結果をもたらすこともあります。そのため、高齢者の肥満管理は、年齢にかかわらず減量することが有益と予測される「ハイリスクな肥満症」についてのみ検討することが重要です。

 

年代別ダイエットの提案

<40~50代>
肥満による生活習慣病の心配があるので、運動では有酸素運動中心で行う方が良いでしょう。また、忙しいサラリーマンは食生活が乱れがちになります。1日3食の中で、ご自分がコントロール出来る食事についてカロリーを少なめにするよう心掛けましょう。
 
<50~60代>
筋力の低下が徐々に進んできますので、筋力トレーニングも積極的に取り入れるようにし、基礎代謝を維持・向上させましょう。また、体脂肪の増加もこの年代ではまだ高いため、体脂肪減少のために、合わせて有酸素運動を取り入れるようにします。食生活では、脂肪分を極力控えるようにしましょう。
 
<60~70代>
筋力の低下が進み、基礎代謝も低下しています。そのため、筋力トレーニングを積極的に行うようにしましょう。特に脚の筋力が低下しますので、脚のトレーニングを中心に行われると良いでしょう。有酸素運動は散歩を中心としましょう。食事はたんぱく質が不足しないように、魚を中心に摂取するように心掛けてください。
 
 
日本では、まだ加齢による理想的な肥満度についての検討が行われていません。今後の研究を待ちつつ、高齢者に適したダイエット(シェイプアップ)方法の実施が望まれます。
 
 
 
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