健康ビジネス問題解決サポートメディアHealthBizWatch
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ヘルスコーチングの視線編] 2015年8月25日号
          ≫≫≫Author:里見将史
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
「ヘルスコーチングの視線」を担当する里見将史です。
 
前回は「ヘルスコーチング」に注目が集まっている背景についてお伝えしました。
今回は「ヘルスコーチング」がこれまでのコミュニケーションと何が違うのかをお伝えします。
 
コミュニケーションの現場で起きている課題に向けたアプローチです。
みなさんの現場に置き換えてみてください。
 
 
■□■□■□■ I N D E X ■□■□■□■
 
【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---コミュニケーションの主役は「指導者」から「対象者」へ
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「時間特定ソリューション」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内リストバンド型生体センサ、海外脳トレゲームアプリなど7本
 
─────────────────────
 
◆◇◆---------
【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
◆◇◆---------
 
【テーマ:コミュニケーションの主役は「指導者」から「対象者」へ】
 
我々が長年研究している「継続ドライバ」というものがあります。
この「継続ドライバ」の一つに「ヘルスコミュニケーション」があり、そのコミュニケーションはいくつかに分類されアプローチが異なっています。
 
「ヘルスコミュニケーション」の分類
 
・ヘルスティーチング
・メンタリング
・コンシェルジュ
・カウンセリング
・ヘルスコーチング
 
これらのヘルスコミュニケーションの中で、対象者自らの「行動」にフォーカスしているのが、「ヘルスコーチング」です。
また、これらのコミュニケーションの中で、唯一「対象者」が会話の中心になるのが「ヘルスコーチング」なのです。
 
今回は、ヘルスコーチングの基本的なアプローチに関して、みなさんにお届けします。
 
 
-----------------------------------
1.ヘルスコーチは行動変容を支援するコーチ
-----------------------------------
 
「ヘルスコーチング」のコミュニケーション技術を使ってアプローチする人を「ヘルスコーチ」と言います。
では、「ヘルスコーチ」とはどんなコーチなのでしょうか?
 
一言でいうと行動変容を支援するコーチなのです。
 
通常、「●●コーチ」と聞くと何かを教えてくれる人、指導してくれる人をイメージしますが、「ヘルスコーチ」は教える、指導するコーチとアプローチが異なります。
 
この「行動変容を支援するコーチ」という表現が、まさに「ヘルスコーチング」のアプローチなのです。
 
 
1-1 効果的な提案、提示は必須項目!
 
では、全く教えないのかというと、そんなことはありません。
専門家としての知識やノウハウ、情報は個人個人に合わせて選択支援という形でタイミングに合わせて提案や提示を効果的に行います。
 
しかし、あくまで提案、提示であってアドバイスではありません。
指導者からの提案や提示を対象者が選択する、しないは自由です。
 
しかし、この提案、提示はその人に寄り添っているヘルスコーチならではの専門性を活かした内容でパーソナライズされていることが基本です。
 
 
1-2 アプローチの中心は行動の継続
 
場合によっては鬼軍曹(専門家)が寄り添ってアドバイスし続けた方が、一定期間内の成果だけでみると効果が高いかもしれません。
 
しかし、その期間が終了した以降の行動の継続はどうでしょうか?
 
これまでのヘルスコミュニケーションでは、指導者、専門家側のアドバイスを対象者が忠実にこなしていくスタイルで、どちらかというと対象者は受動的、受け身の状態です。
 
しかし、「ヘルスコーチング」では、行動変容を支援して、そのあと対象者が自ら継続できることに目を向けたアプローチであるため、対象者は能動的なのです。
 
対象者が自ら気づいて行動を続けていきながらPDCAをしっかりと回していくため、「自分流」が備わっていくのです。
 
 
-----------------------------------
2.「教える」から「気づいてもらう」へ
-----------------------------------
 
これまでのヘルスコミュニケーションの主役は指導者側でした。
しかし、ヘルスコーチングでは対象者が主役であって、ヘルスコーチはあくまでもサポーターなのです。
では、対象者が主役のコミュニケーションとはどんなイメージなのでしょうか?
 
 
2-1 「聞く」、「尋ねる」
 
これまでは、教えることが中心的だったため、話す内容や説明の仕方などが重要視されていました。
 
しかし、目標や達成イメージに向けて行動に取り組む中では、意識や身体の変化に気づくことはもちろん、自分に合う行動、合わない行動に気づいたりなど様々な気づき、発見を重ねて「自分流」を見つけることが、行動の習慣化、定着化には必要になってきます。
 
ヘルスコーチングでは、対象者が自ら気づくためのサポートが中心になるため、対象者との会話では「聞く」「尋ねる」を繰り返します。
そのため、コミュニケーション(会話)の中心は、対象者になるのです。
 
 
2-2 指導者が決めるのではない!対象者が決める!
 
ヘルスコーチングでは、コーチが寄り添う中で感じたことや気づきのための提案や提示をフィードバックとして積極的に行います。
 
その提案や提示については気づきを促すために様々な角度から提示し、最終的には対象者自ら選択します。
 
対象者が自ら選択して言葉にしてヘルスコーチに伝えることで、選択したことを自分の中に取り込む、自分の中での整理につながります。
 
このステップが、自ら行動を起こして継続する上で必要なコミュニケーションなのです。
 
 
-----------------------------------
3.プラスへのアプローチ
-----------------------------------
 
冒頭でお伝えしたヘルスコミュニケーションの中に「カウンセリング」というアプローチがあります。
ヘルスコーチングと何が違うのかというと、
 
・「カウンセリング」はマイナスをゼロに戻すアプローチ
・「ヘルスコーチング」はゼロからプラスにしていくアプローチ
 
カウンセリングは専門知識を持ったカウンセラーがアドバイスを行い問題を取り除く「ゼロ」に戻すアプローチです。
ヘルスコーチングは、コーチが対象者の中にある答えを引き出して、目標達成をサポートするアプローチで、「プラス」へのアプローチが中心になります。
 
 
3-1 課題がスタート地点とは限らない
 
目的に向かって具体的な行動に落としこむ際、現在の課題、問題行動を見つけて、その改善にアプローチしたやり方は、マイナスをプラスにする、マイナス起点の発想なのです。
 
しかし、ヘルスコーチングのアプローチでは、現在の課題、問題行動を前提にするのではなく、現時点で出来ていることにも目を向けていきます。
 
 
3-2 「出来ていること」に目を向ける
 
ヘルスコーチングでは、具体的な行動に目を向けて継続的にサポートしていきます。その中で、「出来る行動」「出来ない行動」がハッキリ見えてきます。
 
通常、出来ない行動(マイナス)に意識が向かってしまいがちですが、出来ていることを早めに見つけて、その出来ている部分をより習慣化、定着化に向けて工夫していくことが大切なのです。
 
 
-----------------------------------
 
今回はヘルスコーチングの基本的なアプローチを解説しました。
対象者の行動変容を支援することがヘルスコーチングの最大の特長です。
実際にヘルスコーチングをサービスで導入している事例は、前回ご紹介しておりますので、そちらをご覧ください!
 
 
次回は、ヘルスコーチングの新しい展開の一つである「ヘルスコーチング×コミュニティ」をご紹介する予定です。ご期待ください。
 
 
【『ヘルスコーチング』早わかりガイド】
 
「ヘルスコーチング」をみなさまに広く知っていただくため、ヘルスコーチングの特長的なキーワードだけを抽出し、簡単に解説した「『ヘルスコーチング』早わかりガイド」といったステップメールを準備しています。
 
ヘルスコーチングを健康サービスに組み込む際のポイントを28個のキーワードにして毎日お送りするステップメールです。
もちろん、無料でご提供しておりますので、ご興味ある方は、以下より『ヘルスコーチング』早わかりガイド」希望とご連絡ください。
 
 
お問い合わせはこちら
 
 
最後に、ヘルスコーチとして活動しております、私の簡単な自己紹介です。
私は2006年にコーチングの資格を取得し、ヘルスケアサービスのポイントとコーチングのコミュニケーション技法の中からヘルスコーチングとしての要素を整理してきております。
オンライン、オフラインを含めてヘルスケアサービスにヘルスコーチングの要素を組み込み、多くのサービス企画はもちろん、実際のサービス運用まで幅広くサポートしております。
ご興味ある方はぜひご連絡ください!!お待ちしております。
 
 
◆◇◆---------
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
◆◇◆---------
 
≫≫≫時間特定ソリューション
 
2001年に大ヒットした朝専用缶コーヒー「ワンダモーニングショット」(アサヒ飲料)のように貴社のサービスを時間特定ソリューションとして組み立て訴求したらどうなるだろうか?
 
 
 
◆◇◆---------
【3】今週の注目デジクリップ!
◆◇◆---------
 
[1]健康コーポレーション、RIZAPが医療ビッグデータに基づく統計モデルを活用したサービス提供を開始
RIZAPが提供するDEMECALなどにより取得したゲストの血液検査データなどを統計解析モデルと連動させることにより将来かかる医療費負担額を推計。さらにRIZAPサービスにより負担額軽減がどれだけ期待できるかを可視化する。(2015/08/12)
 
[2]東芝、リストバンド型生体センサ「Silmee W20」「Silmee W21」新発売
会話量測定、食事時間検出、位置情報、ボタン操作による第三者への緊急連絡、脈拍測定、紫外線量測定、皮膚温度測定などの新機能を搭載。また、記録したライフログは第三者と共有することが可能。(2015/08/17)
 
[3]日本航空など、IoTを活用した作業者安全管理サービス実用化に向けて那覇空港にて共同実証実験を開始
JALは、クラウドベースの安全管理システムを開発したNTT Comと共同で、東レが開発した“hitoe”ウェアやトランスミッターなどを活用し、沖縄県那覇空港の地上エリアでの作業者の心拍数などのバイタルデータのリアルタイム取得や分析、遠隔モニタリングの有用性について実証実験を開始する。(2015/08/17)
 
[4]“描く”脳トレアプリ『Brain Dots』が1,000万ユーザー突破
「Brain Dots」は、なぞって線や図形を自由に描き、赤と青の2つのボールをぶつける脳トレゲームアプリ。公開からわずか1カ月で世界累計1,000万ダウンロードを突破。(2015/08/13)
 
[5]Garmin、スマートフォンとの連携も強化した安価なワークアウト用腕時計『Forerunner 25』
ワークアウト用の安価なデバイスなれどカラーバリエーションは豊富で、心拍、速度、距離などの履歴を記録しておくことができる。歩数もカウントし、スマートフォンと連動してワークアウト中にも必要な通知を送ってくれる。(2015/08/13)
 
[6]DexCom、より小さく、より安価な糖尿病デバイス事業でGoogleと提携
DexComはGoogle Life Sciencesと提携し、最終的には家庭用グルコメーターに取って代わると期待される次世代型CGMの開発に乗り出す。このデバイスはI型糖尿病だけでなく、II型糖尿病を患っている人のためにも利用できる。(2015/08/18)
 
[7]履いているだけで500カロリー以上も消費するインソール『Thin Ice』
靴のインソールとして着用し、普段通りの生活をしているだけで余分に500カロリー以上のエネルギー消費が期待できる。インソール内部には、特殊な冷却チップ、チップを動かす電力となるバッテリーが設置されている。(2015/08/18)
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━