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[海外注目企業の継続支援編]2017年4月18日号
≫≫≫Author:脇本和洋
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こんにちは。脇本です。
 
「海外注目企業の継続支援編」の2017年第5回目は
「健康経営を支援する3つのトレンド」をテーマにお届けします。
 
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---「健康経営を支援する3つのトレンド」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「サイレントクレーム」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 唾液フローラの概日リズム、海外 デバイス動向など、13本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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テーマ:「健康経営を支援する3つのトレンド」
 
 
日本でも、健康経営が本格的に注目されはじめました。
健康経営の「原点」は、そもそも米国にあることをご存じでしょうか。
 
1992年に「The Healthy Company」の著者であるロバート(Robert H. Rosen)氏が、健康経営の考え方を提唱しました。
 
その後、米国では優良健康経営表彰(Corporate Health Achievement Award Winners)が毎年行われるなど、健康経営の取り組みが活発です。
 
そして、健康経営を支援する企業(プロバイダーと呼ばれる)も数多くあります。
 
HERO(健康増進調査機構)という健康経営を評価する団体には、数多くのプロバイダーが登録されています。
 
プロバイダーのサービスが向かっているトレンドは、3つあります。
 
●トレンド1:健康行動の「きっかけづくり」支援
 
●トレンド2:チームワーク(コミュニケーション)を高めて生産性の向上を支援
 
●トレンド3:「パーソナル対応」による健康行動の継続支援
 
今回はこの切り口で事例を紹介します。
 
 
参考>HERO(健康増進調査機構)
全米の1,200以上の企業や組織の健康とウェルビーイング促進レベルを調べ、健康経営評価を行う非営利団体。プロバイダー41社が登録されている。
 
 
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トレンド1:健康行動の「きっかけづくり」支援
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従業員は、すでに健康行動を起こしている人だけでなく、きっかけがつかめないで行動をしていない人が数多くいます。「きっかけ」をつかめない人向けのサービスも健康経営を考える上では重要になってきます。
 
以下の事例では、エンカレッジメント(小さな行動目標を達成すると、褒められるという流れ)とインセンティブという2つの方法で、きっかけづくりを行っています。
 
 
●meyouHealth「Daily Challenge」
Healthways社が提供するサービスの一つ。「スモールアクション」をテーマとするDaily Challengeでは、サイトに登録すると日々の健康行動例(Small Action)が毎日送られてくる。実行したら記録し、ポイントがたまる。その内容に関してコミュニティ機能をつかって実践のコツを交換できる。つまり、小さな行動を開始することを狙ったプログラムとなっている。
 
 
●Preventure
Maxwellという専用プラットフォームでコーポレートウェルネスを提供している。プラットフォームでは小さいレベルの課題(コミットメント)を約束して取り組む。たとえば食後に10分の散歩を一週間に3回やってみるなど。クリアーするとインセンティブやバッジがもらえる。
 
 
●Bravo Wellness
企業向けウェルネスプログラムを提供。インセンティブによる動機付け支援が特徴。例えば、健康診断をする、ウェルネス教育ビデオを見る、健康リスクアセスメントをする、といった健康行動に応じると特別報酬といったインセンティブがもらえる。
 
 
●HealtyWage
インセンティブとピアプレッシャーを組み合わせたサービス。企業内でチームを作って減量にチャレンジする。チームメンバー全員のトータル減量で優勝が決まり、特別報酬が与えられる。
 
 
【コメント】
 
きっかけを得られない人には、健康づくりを前面に出すのではなく「別の目的を用意すること」が基本的なアプローチになります。この分野には是非新しいサービスがほしいですね。
 
 
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トレンド2:チームワーク(コミュニケーション)を高めて生産性向上を支援
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従業員の生産性をあげる切り口として、健康づくりをきっかけに「自然と社内コミュニケーションが増え、チームワークが高まる」という考え方があります。
 
2015年に本メルマガでは、企業内でチームをつくり、協力しながら他のチームと歩数を競争しモチベーションを高めるサービスを提供している「Keas」という事例を紹介しました。
 
現在、この分野では「Virgin Pulse」というサービスが大手となっています。
 
 
●Virgin Pulse
IGNITEというサービスでは、チーム主体の様々なチャレンジ・プログラムを行う。企業の場所、文化、価値、歴史などをテーマにしたチャレンジをカスタマイズできる。カギは「面白さ」「チーム同士で競い合えること」「チームワークが芽生えること」「運動につながること」「チームで目標を共有すること」という。
 
【コメント】
 
チームでコミュニケーションを高めながら健康行動することで、健康経営の本来の目的である「生産性を高める」ということにつながります。つまり、職場でイキイキと働ける環境づくりを行うことを狙っています。ここでのカギは、コミュニケーションテーマの計画性です。健康をテーマにコミュニケーションが生まれやすいテーマを事前に仕込むことです。この分野も更なるサービス開発が望まれます。
 
 
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トレンド3:「パーソナル対応」による健康行動の継続支援
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HEROに登録されているプロバイダーの中でも、近年顕著に増えてきているのが「パーソナル対応」を売りにしたサービスです。生活習慣全般、メンタル、食事といった切り口でサービス提供しています。
 
 
●Healthways(1対1のヘルスコーチング)
健康プログラム専門企業で上場している企業。今までは、様々な健康サービスを低額で受けられたり、データを一元管理できるサービスが中心だったが、現在は専門コーチが1対1でモバイルを使って生活習慣を見守るサービスが中心となってきている。
 
 
●Omada Health(グループでのヘルスコーチング)
生活習慣病の予防プログラムを企業向けに提供する企業。グループコーチング(コーチとのコミュニケーションに参加者間の交流も加える)により継続を支援する。
 
 
●AbilTo(メンタルヘルスのコーチング)
メンタルヘルス系のコーチングプログラム。エモーショナルヘルスとウェルビーイング改善。セラピストによる一対一のコーチング。
 
 
●Zipongo(食事のパーソナルサービス)
各人の健康データをベースに、職場での食事、家での食事で最適のメニューを教えてくれる。ユーザーの一日の食事回数、外食の頻度、食物アレルギーの有無、食の好みや家族の人数などの質問にあらかじめ回答することで、それに基づいたレシピ提案、外食時のメニュー提案などをしてくれる。
 
 
【コメント】
 
近年のパーソナル対応サービスの増加の背景には、スマホアプリの機能向上、さらにはヘルスコーチングという技法が本格的に広がっているという点があります。パーソナライズ化により、一人ひとりの健康行動の継続率を伸ばすことが狙いです。
 
数多くの従業員に対してパーソナル対応サービスを提供するには、人とシステムの融合をどの程度行うかが、プロバイダーの腕の見せ所です。
 
 
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「健康経営」、サービス提供の課題は継続支援
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米国での健康経営を支援するプロバイダーの3つのトレンドはいかがでしたか。
 
いずれのトレンドでも課題は、従業員に「継続的に利用してもらえるか」ということでしょう。
 
我々が考案した「継続ドライバ」という考え方でみると健康経営における継続支援では、
 
・インセンティブ
・コーチング
・パーソナライズ
・コミュニティ
・ゲーミフィケーション
 
といった要素が特に重要とみています。
 
日本の健康経営の浸透に向けて、我々も全力で取り組みます。
 
 
参考>「継続ドライバって何だ?」(日経デジタルヘルス)
 
 
【脇本和洋】
 
 
 
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健康経営に関する参考情報
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●mHealth Watch>健康経営キーマンインタビューVol,1
株式会社フジクラ 浅野健一郎氏
4月20日開催のヘルスケアIT2017でも講演があります。
 
●ヘルスビズウォッチ>メルマガバックナンバー
健康経営の成功要因をコンパクトに解説
 
 
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ヘルスコーチングの検討なら
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今回紹介した事例でも、ヘルスコーチングの技術が数多く使われています。スポルツでは、人を感じる、人が寄り添うヘルスケアサービスとしてすでに「ヘルスコーチング」のサービスを企業様向けに展開しています。概要は以下をご覧ください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「サイレントクレーム」
 
クレームを言ってくれる人は全体の2-3%。無言のサイレントクレームが90%あり、そこにソリューションの切り口が見つけられ提案できれば!!!
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <13クリップ>
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[1]富士フイルム、機能性表示食品「メタバリア 葛の花イソフラボン」新発売
本製品は、体重やウエストの周囲径を減らすことが報告されている機能性関与成分「葛の花由来イソフラボン」を1日の摂取目安量4粒あたり35mg配合。無理な食事制限はせず、自分のペースで手軽におなかの脂肪を落としたい方や肥満気味な方、BMIが高めの方などにおすすめ。(2017/04/05)
 
[2]早稲田大学などの共同研究グループ、世界初・唾液フローラの概日リズム(サーカディアンリズム)を発見ーヒトの体内時計と連動して唾液中の細菌も24時間のリズムを刻むー
これまで、概日リズムは生体の細胞や臓器での現象として観察されていたが、今回共同研究グループは、ヒトの唾液中の細菌叢にも概日リズムが存在することを発見した。(2017/04/05)
 
[3]凸版印刷、センサーで眠りを見える化ー睡眠状態をリアルタイムに解析できるシート型生体センサーを開発ー
ベッドマットレスの下などに設置するだけで利用者の心拍や呼吸などの生体信号をもとに睡眠状態をリアルタイムに把握できるシート型生体センサー。介護・看護施設でのリハビリ効果の最大化や業務負荷削減を実現可能。利用者が装着することなく睡眠状態をリアルタイムに解析できるシート型生体センサーは本製品が日本初。(2017/04/05)
 
[4]ドコモ・ヘルスケア、健康サポートアプリ「からだの時計 WM」の人気コンテンツが2つの単独アプリになってリニューアル
簡単にできるストレッチやエクササイズ映像を提供する「2分でかんたんストレッチ」と、管理栄養士にスマートフォンで食事写真や文章で相談できる「栄養士がサポート」を単独アプリ化し提供開始。(2017/04/06)
 
[5]日経デジタルヘルスより、医療コンサルが手掛けるウエアラブル
医療コンサルティングを手掛けるイーグルマトリックスコンサルティングは、ウエアラブルデバイスとAIを組み合わせた「CALM. ウェアラブルセンサー」を発表。心電位や加速度、温度を計測し、独自のAIアルゴリズムによる分析で疲労度・睡眠の質・ストレスなどの情報を提供する。(2017/04/06)
 
[6]ユカシカド、世界初 尿で栄養の過不足を評価するサービス開始
不規則な生活に不安を抱える人、妊娠期・授乳期の人、アスリートを対象に、尿を用いた簡便な検査で栄養素の過不足値を定量的に測定する世界初の郵送検査サービス。ビタミン7種類・ミネラル6種類・たんぱく質・酸化ストレス(ビタミンC、ビタミンE)の分析が可能。(2017/04/07)
 
[7]千葉大学など、心不全の新しいメカニズムを解明ー新しい治療法の開発に期待ー
心臓・脳・腎臓をつなぐ新しい臓器の連結機構(ネットワーク)を見いだした。この臓器ネットワークは、心臓をストレスから守る重要なメカニズム。実際、このネットワークがうまく働かないようにするとマウスは心不全を発症するようになる。(2017/04/11)
 
[8]みずほ情報総研、データと人工知能が「健康経営」の未来を拓く
同社では、2014年度の第1期データヘルス計画の計画策定から保健事業の効果測定まで、データ分析を中心に健康保険組合などへの支援業務を行ってきた。2017年度は、第2期データヘルス計画の作成の年に当たるが、引き続き支援業務を行いデータヘルスや健康経営の発展に寄与していきたいと考えている。(2017/04/11)
 
[9]大和総研、コラム「健康白書」のすすめ
健康経営の推進は、何から始めればよいのか悩まれる企業経営者も多いのではなかろうか。そこで一つの提案は「健康白書」の作成。自社内の従業員向けの健康への取組を一度洗い出し、これまでの施策の成果を確認するとともに現状の課題をまとめて次年度の施策を検討するのである。(2017/04/11)
 
[10]新社会システム総合研究所、「デジタルヘルス最前線」開催
開催日は4月24日(月)。重要講義内容は「デジタルヘルスにおけるイノベーションとマネタイズのジレンマ」「ディープラーニング革命とAIによるシンギュラリティー医療・ヘルスケア分野への影響ー」「音声から病気がわかる時代の創出」。
 
[11]イヤホン型水陸両用スポーツウェアラブルデバイス『Kuaifit』
イヤホン型でなおかつ心拍計を備え、ボイスコーチング機能を搭載したウェアラブルデバイス。ボイスコーチングはランニング、サイクリング、スイミング、ジムなどの項目ごとに設定が可能。(2017/04/05)
 
[12]ランニングフォームを改善してくれるヴァーチャル・トレーナーデバイス『SHIFT IQ』
「SHIFT IQ」は、スマホ専用アプリと連携させ、ランニング中に身につけることで自分のランニングフォームを分析し、走っている最中にフォームの改善点をアドバイスしてくれる。(2017/04/06)
 
[13]mHealthWatch注目ニュース:ドコモ・ヘルスケア、患者専用のQ&Aコミュニティサイト『イルイル』
規制の問題などクリアすべきポイントはたくさんあるが、やはり患者さんにとって有益なサービスだからこそ持続可能な提供スタイルを作り上げていってほしい。今回のサービス「イルイル」については継続的にウォッチしていきたい。(2017/04/17)
 
 
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