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【海外ユニーク事例編】米国の健康上場企業の業績動向
 
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こんにちは。株式会社スポルツの脇本和洋です。
「海外ユニーク事例編」では、毎月1回特定のテーマで海外の健康ビジネス動向を紹介しています。
 
米国では、毎年3-4月に上場企業の決算が発表になります。今号は「米国の健康上場企業の最新業績動向」をテーマに6つの事例を紹介します。
 
・食品系企業
 NutriSystem
 Medifast
 
・施設、ネットサービス企業
 Weight Watchers
 
・ネット系企業
 Everyday Health
 WebMD
 
・B-B向け企業
 Healthways
 
 
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【食品企業】NutriSystem:低迷期を脱出か
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■企業名:NutriSystem, Inc.
■設立:1972年
■上場:1999年
■ターゲット:ダイエットミールリプレイスメント(食事代替食品)で手軽に減量したい人
■売上:403milUSD(2014年)(1ドル=100円として約403億円)
■収益源:ダイエット食品の販売
 
■売上の傾向
・2010年:509億円
・2011年:401億円
・2012年:396億円
・2013年:358億円
・2014年:403億円
 
同社は2010年から売上が低下していましたが、2014年には上向きに転じています。
 
■売上傾向の背景
 
売り上げが上向きに転じた理由として、新プログラムがあります。新プログラムは、最初の一週間で5ポンド(約2.3キロ)の減量を目指すFast5+プランです。初期に成功の実感が得られる点が受け入れられたようです。
 
さらに今年度は人工の香料、甘味料、着色料を使用しない新商品を追加したことも一つの要因と考えられます。
 
・参考バックナンバー>3年で売上37億円から776億円に急成長する「NutriSystem」(2008年)
 
 
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【食品企業】Medifast:成長がひと段落し、次の拡大を探る
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■企業名:Medifast, Inc
■設立:1993年
■ターゲット:ミールリプレイスメントを使ってダイエットしたい女性でリバウンドをよくしている人
■売上:285milUSD(2014年)(1ドル=100円として約285億円)
■収益源:ダイエット食品の販売
 
■売上の傾向
・2010年:257億円
・2011年:298億円
・2012年:356億円
・2013年:356億円
・2014年:285億円
 
2010年から売上は拡大し、2013年には前述のNutriSystemとほぼ同じ売上に迫った同社。ただ、2014年に売上は下がっています。
 
■売上傾向の背景
 
リバウンドしないで痩せるという価値を提案。そのための独自のダイエット法「3フェイズダイエット」を「ヘルスコーチ」を中心に普及することで成長してきました。
 
2014年に売上が下がった原因は、ヘルスコーチの人数が減ったこと、ヘルスコーチ一人あたりの売上が減ったこと、さらに、ダイレクトセール(オンライン)の減少があります。今後同社では、ヘルスコーチ育成のカリキュラムを充実させ、ヘルスコーチから受けられるサービスを強化すると同時に、ダイレクト販売を強化すること(特に広告キャンペーンを使う)で活路をみいだそうとしています。
 
・ヘルスコーチを中心とした普及
 
・参考バックナンバー>卒業前提のダイエット&サービス「Medifast」(2007年)
 
 
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【施設、ネットサービス企業】Weight Watchers:低迷打開に取り組む
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■企業名:Weight Watchers International, Inc
■設立:1963年
■上場:2001年
■ターゲット:約50ポンド(約20キロ)以上やせたい女性が中心
(女性へのブランド認知率は97%)
■売上:1,479milUSD(2014年)(1ドル=100円として約1,479億円)
■収益源
 1.ダイエットセンターでのミーティング受講料
 2.ウェブサービス利用料
 3.商品販売(食品、ガイドブック、体重計など)
 4.ライセンス他
 
■売上の傾向
・2010年:1452億円
・2011年:1819億円
・2012年:1827億円
・2013年:1724億円
・2014年:1479億円
 
売上は2012年をピークに減少傾向にあり、低迷期にさしかかっています。
 
■売上傾向の背景
 
特にこの1年は、
 
・ミーティングが、107億円減(前年比12%減)
・ウェブが、85億円減(前年比16%減)
・商品販売が、43億円減(前年比20%減)
・ライセンスが、10億円減(前年比7%減)
 
となっています。
 
ミーティング、ウェブともに減少していますが、理由は同社のダイエット法(ポイントプログラム)とよく似た「無料」レコーディングアプリ(例:全世界で8,000万人の会員がいる「Myfitnesspal」)に、同社の会員が流れている点が大きいです。それに対抗して、同社では、パーソナルコーチングサービス(コーチングが個々に受けられるサービス)を今年から新しい収益の柱として開始し、巻き返しを図ってきました。
 
・パーソナルコーチングサービス
 
・参考バックナンバー>
世界最大のダイエットセンター、ウェイトウォッチャーズ2013年の取り組み(2013年)
「プロモーション(広告戦略)」の効果的あり方ー ウェイトウォッチャーズの広告トレンドに見るヒント ー(2015年)
 
 
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【ネット企業】Everyday Health:2014年に上場し、成長をつづける
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■企業名:Everyday Health, Inc.
■設立:2002年
■上場:2014年
■ターゲット:気になる症状があり健康について調べたい人
■売上:184milUSD(2014年)(1ドル=100円として約184億円)
■収益源
 1.企業からのサイト広告費
 2.個人からのプログラム利用月会費
 
■売上の傾向
・2010年:111億円
・2011年:125億円
・2012年:138億円
・2013年:155億円
・2014年:184億円
 
同社は2014年に上場。2010年から持続的な成長を続けています。
 
■売上傾向の背景
 
企業からのサイト広告費やスポンサー契約費の売り上げが順調に伸びているようです。
 
同社は、一般向け健康総合情報ポータルサイトや医療関係者向け情報サイトだけでなく、出産・育児情報サイトなど現在18個のサイトをもち、ユーザー層の住み分けがしっかりしており、広告を依頼する企業にとってターゲットが絞りやすいように工夫されています。
 
特に、人気のカリスマフィットネストレーナー「Jillian Michaels」や有名病院である「メイヨークリニック」監修のダイエット法を紹介する有料コンテンツをもち、代表的なメソッド(健康法)をウェブを通じて提供している点があります。
 
・Jillian Michaels
 
・参考バックナンバー>注目健康ポータルサイト「EverydayHealth.com」(2008年)
 
 
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【ネット企業】WebMD:売上を回復中
 
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■企業名:WebMD, LLC.
■設立:1998年
■上場:1999年
■ターゲット:医師または一般で病気や治療に関する情報を探している人
■売上:580milUSD(2014年)(1ドル=100円として約580億円)
■収益源
 1.企業向け広告費
 2.企業向けコンテンツライセンス費
 
■売上の傾向
・2010年:534億円
・2011年:558億円
・2012年:469億円
・2013年:515億円
・2014年:580億円
 
売上は2012年に落ち込みましたが、その後順調に回復を続けています。
 
■売上傾向の背景
 
2012年に売上が低下した理由として、他の健康情報ポータル、ソーシャルメディアなど競合するウェブサービスとの価格競争による収益率の悪化が挙げられました。またモバイル端末での対応が遅れたことも要因でした。
 
現在は、データ分析力を強化し、適切なターゲットにマーケティングするための工夫を続け、モバイル端末用のプラットフォーム開発に注力し、モバイルユーザーの取り込みにも力を入れるようになりました。
 
サイトコンテンツも、一方的な情報提供でなく、より具体的に健康行動のコツを提示するよう変化してきています。例えば、「TIPS(コツ)」コミュニティでは、目標テーマごとに具体的なノウハウを共有するコミュニティを運営しています。
 
 
・参考バックナンバー>ヘルスケアウェブコミュニティの進化(2014年)WebMDの「TIPS(コツ)」コミュニティ
 
 
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【B-B向け企業】Healthways:売上回復の兆し
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■企業名:Healthways, Inc.
■設立:1981年
■上場:1991年
■ターゲット:法人の健康管理部門
■売上:742milUSD(2014年)(1ドル=100円として約742億円)
■収益源:B-B向け健康プログラムの販売
 
■売上の傾向
・2010年:720億円
・2011年:688億円
・2012年:677億円
・2013年:663億円
・2014年:742億円
 
売上は2010年から2013年まで低下しましたが、2014年に上向きに転じています。
 
■売上傾向の背景
 
同社は医療保険に付随する健康プログラムや医療機関向け健康プログラムなどB-B向けで商品を充実させました。
 
最近では、心臓疾患を改善する健康プログラム「Ornish Program(オーニッシュ・プログラム)」のように、ターゲットを明確にし、独自メソッドを提供し、普及に努めるなど、「独自色」を打ち出したことが、売上を上向きに転じた要因と考えられます。
 
 
・参考バックナンバー>進化する米国最大のウエルネスプログラム提供企業「Healthways(ヘルスウエイズ)社」(2013年)
 
 
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業績動向のまとめ
 
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今回は、「米国の健康上場企業の業績動向」という切り口で事例を紹介しました。
気付いた点をまとめると、
 
■無料アプリという大きな競争相手が業績に影響
 
メディファスト、ウェイトウォッチャーズは、それぞれ「3フェーズダイエット」「ポイントプログラム」といったメソッドを中核に提案してきました。
 
また、エブリデイヘルスは「Jillian Michaels」や「メイヨークリニック」法、ヘルスウエイズも「Ornish Program」法といったメソッドを特徴としてもいます。
 
独自性の高いメソッドが業績を向上させる重要な要因であることは間違いありません。
 
ただ、この数年でmyfitnesspalをはじめとした無料アプリが数多くでてきて、独自メソッドの大きな競合になっています。ウェイトウォッチャーズの売上低迷からわかるよう、いくらよいメソッドを作り強化していたとしても、無料アプリ次第では、安泰ではない時代になっているわけです。
 
 
■「人」(人を感じる継続要素)で業績拡大(回復)を狙う
 
ウェイトウォッチャーズはパーソナルコーチングを導入、メディファストはヘルスコーチという人の要素を強化し、ニュートリシステムも専門家とのチャットを導入、ウェブMDも交流コミュニティを特徴としています。
 
継続支援はIT完結でなく、「人」の要素をもつことが今後の競争優位に欠かせない要素になっていくはずです。
 
 
 
参考>本号で紹介した、ウェイトウォッチャーズ、メディファストの最新のマーケティングを紹介するセミナーを開催予定です。ご興味のある方は、是非参加ください。
 
・モバイルヘルス勉強会 「ヘルスケアにおけるマーケティング戦略」
 開催日:5月25日(月)
 
 
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